シロアリの腸内にいる微生物を研究している人達がいることは #285 で扱いました。

http://ameblo.jp/mattmicky1/entry-10027302995.html#cbox

この記述は不正確でした。

「シロアリの遺伝子」

ではありませんね。

「シロアリの腸内にいる微生物のゲノム」

と表現すべきでしたね。


シロアリ研究はアメリカのエネルギー省も進めています。

http://www.jgi.doe.gov/News/news_11_21_07.html

シロアリ腸内の微生物のうち2種類(フィブロバクターとトレポネーマ)のゲノムが解析されたというわけです。

ゲノムからどのように生化学反応が連鎖するかが解析されれば、セルロース.ヘミセルロースからどのようにブドウ糖・五炭糖が合成されるかわかるわけですね。

一つ私の目を引いたのは、3段落目と5段落目です。

"Termites can digest a frightening amount of wood in a very short time, as anyone who has had termites in their house is painfully aware."

「家にシロアリが出た人の誰もが痛感するように、シロアリはごく短期間で恐るべき量の木材を消化できる」

"The mandibles of the insect chomp the wood into bits, but the real work is conducted in the dark recesses of the belly, where the enzymatic juices exuded by microbes attack and deconstruct the cellulose and hemicellulose, which, along with lignin, are the basic building blocks of wood."

「シロアリの下顎で木材は噛み砕かれ粉々になるが、本当の作業はシロアリの腸の奥底で行われている。微生物が分泌した酵素液は、セルロースとヘミセルロースを分解するが、これらは、リグニンとともに木の基本構成要素である」


シロアリは木質を小さく砕くことができるんですね。これは良いことを知りました。

セルロース系エタノール製造工程には4段階あると以前述べました。

(1) 前処理 ... 植物から繊維質を剥がし取り、さらに繊維質からリグニンを剥がし取る。

(2) 加水分解 ... セルロース高分子を、一つ一つの糖分子に分解する

(3) 発酵 ... 糖分子を酵母によってエタノール発酵させる

(4) 蒸留/脱水 ... エタノール水溶液から水分を取り除く

このうち、(1)は今のところ硫酸を使っています。

化石燃料を大量に投入する理由の一つになっているわけです。

シロアリが顎の力でガリガリ木質を細かく砕いてしまい、体内の微生物を使ってリグニンを剥がしてくれるのなら、研究開発の中心に現在なっている加水分解と発酵以外にもシロアリの研究はセルロース系エタノール研究開発に大きく貢献する可能性がありますね。