比重0.86かつ油田が年間を通して毎日稼動していると仮定しますと、大慶油田の産出量は、
ピーク時(1999年): 年産5600万トン = 日量153,425トン = 日量112万2000バレル
2006年実績: 年産4300万トン = 日量117,808トン = 日量74万9000バレル
2020年予想: 年産2000万トン = 日量54,795トン = 日量34万4600トン
と換算できます。
日量74万9000バレルが全体の4分の1と仮定すると、2006年の中国全土の産油量は
日量299万6000バレル = 日量約300万バレル
と算出できます。
CRB Commodity Yearbook 2007 で裏を取ってみましょう。
198ページの表によると、2006年の中国の産油量は日量368万4000バレル。日量74万9000バレルはその20%。
誤差にしてはちょっと差が大きい感があります。
仮定した比重が大きすぎるんでしょうか。そうかもしれませんね。
ピーク年の1999年で比較してみましょう。
CRB Commodity Yearbook 2007 同ページの表によると、中国の1999年産油量は日量320万6000バレル。上述の日量112万2000バレルはその35%。
とりあえず、「約4分の1」とは「直近8年間で大慶油田が中国全土に占める割合の中間値」と解釈しますか。
おっと、もう一つデータがありましたね。2日前に投稿した#369に引用した日経記事には、「2006年の中国原油産出量は1億8400万トン」とありました。
4300万トンはその23.4%。「約4分の1」の範疇ではあるでしょう。
二方面から見て矛盾は特に見当たらないので、「約4分の1」はだいたい正確な割合と言えると思います。
油田ごとの産出量データは、なかなか入手できません。特に国営企業が大半を押さえている国ではそうです。本当はこういう検証をサウジアラビアやロシアについてもやりたいのですが。
本当は、まずは Oil & Gas Journal を購読すべきなんでしょうね。そこまでは私はやっていません。
それにしても、大慶油田は大きな油層ですね。油田地帯1箇所で日量100万バレル超というわけですから、大慶油田は正真正銘「巨象級=超巨大油田」と言えます。
そして、ピーク年から約20年後には、ピーク産出量から7割落ち込むと予想されているわけです。
23.4%の7割としても、中国の現在の消費量の6分の1が失われるわけです。
6分の1供給が減ったら深刻ですよね。
当面中国経済の成長は続きそうですから、潜在需要の増加が見込まれるわけです。記事にも年率二桁の需要増見込みとあります。
つまり、「消費する側が消費したい量から6分の1減」では済まない。ということです。「消費したい量」より何割も(例えば半分とか)少ない量しか供給されない、という深刻なことになる可能性があるわけです。