「エタノールとETBE」を書きかけですが、もう少し回り道します。
昨年10月から今年2月まで、および今年4月、バイオ燃料関連の報道が日経と日経産業新聞で大量に出てきました。
5月に入ってから一段落している、というのが、私の感触です。
報道の内容は大雑把に三種類に分けられます。このブログですべてをご紹介しているわけではありませんので、ここで分類しておきましょう。
一つ目は、「エタノール直接混合方式とETBE混合方式による、自動車用燃料導入」に関するもの。(国内政策)
二つ目が、「商社を中心とした日本企業による外国の燃料作物産地確保へ向けた動き」に関するもの。(資源確保を目的とした対外政策)
三つ目が、「セルロース系エタノール製造技術の研究開発」に関するもの。(資源確保安定化を目指した技術戦略)
間違えないでいただきたいのは、「セルロース系エタノール」はまだ研究開発段階だということです。実用化が近付いていると思われますが、それでもまだ「商業的に成立した」ものは皆無と言って良い状況です。
例外の一つは、カナダの Iogen (アイオジェン)ですか。ここ補助金漬けでの実用化です。どのくらい補助金が投入されているのかよく分かりませんので、石油系燃料に対してどのくらい劣位にあるのかもよく分かりません。
もう一つ例外と言えるかもしれない存在は堺市にある(株)バイオエタノール・ジャパン関西ですが、ここも生産が軌道に乗ったとは私は聞いていません。販売先の確保が当面の課題です。その次が「セルロースの原料化」です。私が得ている情報から判断するに、今のところ「ヘミセルロースだけを原料として稼動」している状態のようです。また、「前処理」や「加水分解=糖化」においては、通常は化石燃料から製造する硫酸を使用しています。
「脱石油した上でエネルギー収支の(ネット)ハイ・リターンを確保する」という観点からは、まだまだ全然です。
一つ目と二つ目は、大部分「砂糖作物に依存」した計画です。ブラジルやタイのサトウキビ、北海道の甜菜などが原料です。食糧を充てるやり方です。
こういった事情から、バイオ燃料に懐疑的な目を向ける向きも多いです。それはそれで理由のあることです。
このブログの基本的な姿勢もあくまで「技術開発成功後の将来に期待する」というものです。