高圧ガス保安協会 <http://www.khk.or.jp/ > の会員向け月刊誌「高圧ガス」Vol.44 No.4(2007)で「バイオエタノール特集
」を掲載したのですが、4~10ページに次の論文が載っています。

「国の目玉政策に浮上したバイオエタノール 普及に向けた取り組みと今後の見通し」
佐藤あい  野村総合研究所 技術・産業コンサルティング一部 コンサルタント

内容の概略を述べます。

(1)日本でのバイオ燃料の導入目的は以下3つ
  ・二酸化炭素排出量削減(環境省)
  ・エネルギー安全保障向上(経済産業省)
  ・国内農業の振興(農林水産省)

(2)上記3目的=3省庁間の連携が不調

(3)石油連盟はETBE混合を推している。
  ・品質上の理由

(4)環境省・農林水産省と石油連盟との間に齟齬

(5)石油連盟は、2006年6月にETBE方式推進を経済産業省、自動車業界との間で確認している。この際、「原料エタノールのブラジルからの輸入」を前提としていた。

(6)2006年11月、安倍内閣方針により国内農業振興を目的としたエタノール国産化推進が浮上。最終的に国産100%を目指す。

(7)安倍内閣方針は石油連盟が推す「輸入エタノールから生産したETBEのガソリンへの混合」と合わない。エタノール調達計画を見直す必要あり。よって石油連盟と安倍内閣との齟齬が表面化してきた。

(8)今後の展望
  ・齟齬表面化によるバイオ燃料普及遅延の可能性
  ・流通網を持つ石油連盟の協力を安倍内閣が確保できるか
  ・エタノール調達コスト低減化
  ・国内エタノール生産計画策定の必要性

「エタノールとETBE」シリーズで述べてきたことと概ね一致してます。

「環境省・農林水産省 vs 石油連盟」と書き、そこに「経済産業省」を絡ませていないところなんか、私の一番楽しくなるところですね。(不謹慎ですか...)