もう一度、現状想定されているセルロース系エタノール製造工程を思い出していただきましょう。

前処理(繊維質からリグニンを剥がし、セルロース・ヘミセルロースの高分子を得る)

加水分解(セルロース・ヘミセルロースの高分子を糖分子に分解する)

発酵(糖分子を発酵してエタノール水溶液を得る)

濃縮(エタノール水溶液から水分を取り除く)

前回#325の記事は、「加水分解と発酵の統合」までしか書いていません。梁瀬教授の言う「一貫生産」は「セルロース系原料の分解から」と書いてありますから、まだまだ先は長いですね。

実際、色々報道を読んでいると、「前処理」工程に関する報道はほとんどありません。

バイオエタノールに関する報道の件数はこの1年間で劇的に増えました。生産効率を大幅に向上させ今にも実現するかのような報道がばんばん出てきますね。

しかし、「前処理」で画期的な技術革新が起こりつつある、或いはそれを目指して研究している、という報道はまだ私はほとんど見ていません。

メディア業界も含めてまだ世間が十分に認識していない、ということなのか。

それとも、技術的に高い壁が立ちはだかっているということなのか。

私には両方に思えます。