セルロース系エタノール実用化のために必要な要素技術の研究開発の様子を一つ一つ機会を捉えて追っていこうと思います。
日経産業新聞 2007年4月18日(水) p11
「未来プロジェクト動く バイオ燃料 本格導入へ(下) 生産性高い発酵菌注目」
(Quote) エタノールの生産性をどれだけ高めるか、鳥取大学の梁瀬英司教授は酵母とは異なる新たな発酵菌「ザイモバクター」に着目した。「セルロース系原料の分解から発酵まで、すべての工程をザイモバクターで処理する」。梁瀬教授はエタノール“一貫生産”プロセスの構築を目指している。
米国では、ザイモモナスと呼ばれる発酵菌でエタノールを製造する研究が進む。ザイモモナスは酵母に比べ、三-五倍の発酵速度を持つ。ザイモバクターはザイモモナスよりも発酵速度は劣るが、分解できる糖の種類が多いのが特徴だ。
生産性を上げるためには少しでも多くの糖を利用することが重要。酵母を使う場合は基本的に木くずから得られる糖のうちグルコースだけを発酵させているが、遺伝子操作技術を利用して梁瀬教授が育種したザイモバクターを利用すれば、キシロースやマンノースといった糖もエタノールに転換できるという。
梁瀬教授が次に着手したのが、ザイモバクターにセルロースを糖に分解する能力を加えること。もともとザイモバクターは発酵菌なので、糖に分解する機能は持たない。セルロースを糖に分解する酵素の遺伝子を取り出し、ザイモバクターに組み込んだ。
これにより、セルロースを構成するオリゴ糖をグルコースに分解する能力が加わった。「発酵速度を上げるなど、まだ問題はある」(梁瀬教授)が、ザイモバクターを活用したエタノール一貫生産プロセスは一歩ずつ完成に近付いている。分解・発酵を一つの段階で処理することで、一リットル当たりのエタノール製造コストを四十円以下に抑える算段だ。
...(後略)... (Unquote)
グルコースはブドウ糖のことです。