徳島県に超音波醸造所(有)という変わった名前の会社があります。

この会社は、少ないエネルギー消費でエタノールを濃縮する技術を開発したそうです。

日経産業新聞 2007年4月24日(火) p1

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バイオエタノール原料 超音波で濃縮
超音波醸造所 エネルギー効率10倍

 【豊橋】 超音波機器の本多電子(愛知県豊橋市、本多洋介社長)などが設立した超音波醸造所(徳島県鳴門市)はアビオエタノールの原料を超音波で濃縮する技術を開発した。今週にもプラント・バイオ燃料メーカーと協力して量産用機器の開発を始める。現在主流の蒸溜濃縮方式に比べ、エネルギーの使用効率が五-十倍に高まる。バイオ燃料の量産コスト低減に役立つ見込み。

 バイオエタノールは配剤や穀物を発酵させたアルコール濃度が一〇%程度の現役を濃縮して使う。新しい方式は現役のタンクに超音波振動子を入れ、高周波超音波を出す仕組み。

 超音波によって駅面からは直径三マイクロ(マイクロは百万分の一)メートルの細かな霧が吹き上がる。この霧は現役に比べアルコール濃度が高くなる。これを集めて濃度を高める作業を複数回繰り返し、濃度を九八-九九%に引き上げる。超音波の周波数は、濃度に応じて二・四メガ(メガは百万)ヘルツと一・六メガヘルツを使い分ける。

 これまで主流の蒸留は加熱する必要があるうえ、濃度が高まるほど濃縮が難しくなりエネルギー効率が悪くなる。超音波を利用した場合、蒸溜と同じ加工速度で電力などの消費量が大幅に少なくなる。振動子の形状や表面処理、密閉方法などを改善し、耐久時間が一万時間だったのを三万時間に延ばした。先端につける円すい形のノズルの形も調整し、振動子一個当たりで可能な濃縮量を一時間七百五十ミリリットルと従来の三倍に増やしたことで実用化にメドをつけた。

 量産用製品向けは、タンクの中に振動子を多数備え付ける。振動子の改良を進めて寿命をさらに延ばすうえ、濃縮効率も一段と高める。

 超音波醸造所は、本多電子と酒造会社の本家松浦酒造場(鳴門市)などが共同出資で設立した研究開発型ベンチャー企業。清酒の醸造、濃縮の研究をしている。

 国内のバイオエタノールの生産現場では現在、アルコール濃度を上げるのは蒸留法が中心。ただ生産コスト削減などのため、代替策が求められている。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の三浦俊泰主任研究員は「研究開発の主流は膜を使って水分とアルコールを分離する方法だが、課題は多い」と説明する。超音波による濃縮が蒸留の代替策として浮上してきたといえそうだ。 (Unquote)