化石燃料の減退に伴って、窒素肥料の入手が難しくなる可能性があることを前述しました。
これへの対策も、バイオテクノロジーがもたらしてくれるだろう、と私は考えています。
日経産業新聞 2006年11月17日(金) 9面
(Quote)
マメ科植物 窒素取り込む遺伝子
かずさDNA研など 肥料不要に道
かずさディーエヌエー研究所などの国際研究チームは、マメ科の植物が窒素を効率よく取り込むために必要な遺伝子を突き止めた。植物ホルモンを受け取る役目を担っており、変異すると根粒菌のすみかとなる根のコブができなくなる。肥料を使わずに育つ植物の開発などにつながる成果だ。...(中略)...
突然変異によって根のコブが作れなくなったマメ科植物ミヤコグサを調べた。根にコブができるにはサイトカイニンという細胞分裂を促進する植物ホルモンが必要で、突然変異したミヤコグサはサイトカイニンの受容体の遺伝子が働かなくなっていることがわかった。同じ遺伝子が別の変異を起こすと受容体が常に活性化した状態になり、根粒菌がいなくてもコブができることも発見した。
根粒菌はマメ科植物にだけ寄生する。土壌の窒素を取り込む働きがあり、大豆などが荒地でも育つのは根粒菌のおかげといわれている。 (Unquote)
将来的には、「マメ科植物以外でも根粒菌が住み着いてくれるよう、作物と根粒菌を改造する」という方向に向かうと思います。