昨日挙げた website 記事では、光合成量が2倍になる、と書いてありました。
このような、物質生産の効率を大幅に上げる効果が、バイオテクノロジーでは期待できる、と私は考えています。
日経産業新聞 2006年12月18日(月) 19面
(Quote)
大腸菌の遺伝子組み換え アミノ酸を効率生産 協和発酵
キシリトールも作成
協和発酵は、大腸菌を遺伝子組み換えの手法で改造し、有用物質の生産に適した菌を作ることに成功した。生産効率が向上するので、アミノ酸や糖などを従来よりも安く生産できる。医薬品や飼料の原料などを生産する菌として三年後をメドに実用化を目指す。
大腸菌は遺伝情報を含んだ約四百六十万の塩基対を持つ。同社は遺伝子組み換えの手法で、機能が分かっていない遺伝子や菌の生育に影響しない領域など百万塩基対を削除した。これは、約四千三百-四千四百個あるとみられる遺伝子のうち約一千個を取り除いたことになる。
作成した大腸菌を試験管で培養してみた。増殖能力が高まり、従来の大腸菌に比べて菌の数は約一・五倍に増えた。
この大腸菌を使って、家畜の飼料などの原料であるアミノ酸のスレオニンを作らせてみた。従来の菌より生産量が約三倍に増加した。
さらに、作成した大腸菌で糖から甘味料のキシリトールを作ることにも成功した。キシリトールは現在、化学的手法で製造している。コスト面で大腸菌が優位になれば製造法が置き換わる可能性もあるとみている。 (Unquote)
私が注目したのは、「機能の分かっていない百万塩基対を削除したら、増殖力が1.5倍、アミノ酸生産能力が3倍になった」ということです。
「機能の分かっていない遺伝子をバサッと取り除いたら、大腸菌の働きが急に何倍にもよくなった」わけです。
この例はあくまで大腸菌という原始的な生物の例ですので、必ずしも自動的に高等植物に当てはまるとは確かに限りません。
それでも、「もし、すべての機能がよくわかり、どこをどう設計したらどうなるか完全に判明したら、生物の利用度を格段に上げることができる」と私には思えます。
現在ではとても信じられないことが起こるに違いありません。
「バイオテクノロジーの進歩によって物質生産が何倍にも増える」と私が将来を想定しているのは、例えばこういう研究成果の報告があるからです。