私は、みなさんに以下をお願いしたいと思っています。(私自身も努力しなければ、と思っています)

(1) 技術革新/省エネ化推進を周囲の人々に促すこと(技術面でも、意識の上でも)

(2) もし、職業上そういう技術革新を推進する立場にあるのなら、ぜひとも知恵を絞っていただきたいこと

(3) エネルギーについて考えるときは、ある一つの事象だけを見て「これだ!」と思わずに、その事象と他の事象との相互関係に目を向けるべきこと

バイオ燃料とバイオマス利用技術から話が逸れてしまうことを承知で私がこの連載を長々と書く気になったのは、この3つのことを申し上げたかったからです。このことをご理解いただければ、そして実行に移していただければ、頭の中を暴露し時間をかけて説明した甲斐があったというものです。

1番目と2番目はすぐにお分かりいただけると思いますので、3番目だけ少し補足します。

エネルギー問題は複雑です。

自分の頭だけで何もかも完璧に考えようと思ったら、物理学や化学について押さえた上で、その科学上の知見をどう世の中に生かすかについての技術・エンジニアリング面について考え、その次にその社会に与える影響(環境破壊のような副作用も含め)を考え、それに法律がどう対応しているかについて考え、そのエネルギー源と競合する(代替する)他のエネルギー源と比較し、...と延々と色々なことについて考えなければなりません。

しかし、あるエネルギー源が衰退するので別のエネルギー源を見つけなければならない、となったら、上に述べたように何でも色々考えねばなりません。1つのことだけ考えていてはいけないわけです。

個人的な意見ですが、こうするためには、

・システム指向で考える努力をすること

・自分の知らないことを知っている他人の意見を積極的に求めること

この2つの態度が重要だと思います。

「システム指向(思考?)」というのは、例えば、

・仮説: 新型原子炉の高温ガス炉による水素製造が、化石燃料後の水素社会の基盤となる

・疑問: 本当か?

・検証開始: 天然ガスが減退する

・ヘリウムの産出が減少する

・高温ガス炉は冷却材にヘリウムを使うから、ヘリウム供給が減ると炉を使えなくなる

・結論: その新型炉から得られる1000℃超の高温を利用した水からの水素生産による水素社会の実現は、実は天然ガス供給に依存している

こんな感じの思考経路のことだと私は考えています。

上の例の場合、キモは「ヘリウムの供給と天然ガスの供給との間に相関関係がある」ということです。このことは日常的には意識されていません。

「省エネ化はエネルギー収支を改善する」という私の仮説も、こういう思考の産物です。一見関係なさそうな複数の事象について、その間に何か関連が無いか、考えてみるわけです。

こんなこと一々考えるのは、めんどくさいですね。でも、エネルギーについて考える上では必要な態度だと思います。

さて、この投稿で「遠い将来」を終えることにします。

明日からしばらく、別のブログテーマで「バイオテクノロジーの進歩、特にシステム生物学がバイオマス生産増加にどれだけ貢献できそうか」という可能性について書くことにします。

そこまで行って、ようやく forever2xxxさんへの回答を終えることができます。