昨日の投稿で述べた将来像ですが、かならず実現するとは今のところ限りません。
あくまで「こうなる可能性が高そうだし、この方向性が一番実現が近そうだ」と私が想定している将来像に過ぎません。
私は「省エネ+バイオテクノロジー+ある程度の自然エネルギー」派なわけですが、これ以外の方法論により別の解決策がもたらされて社会に影響する可能性があります。
たとえば、核融合なんか、その可能性があると私が思っているものの一つです。
技術革新に悲観的な人たちは核融合にも悲観的です。私も必ずしも楽観しているわけではありませんが、可能性はあると思っています。ただ、実現するとしていつ実現するか?と問われても私には答えられません。
もっと使えそうだ、と私が勝手に思っているのは、「高分子アクチュエータ」ですね。
この技術は「人工筋肉 = 筋肉の動くメカニズムを人工的に再現する」研究から出てきたものです。
電位差が筋繊維の動きに絡んでいることを逆にとらえ、電位差に反応して動く繊維を外から力を加えて動かし、電流を発生させようというわけです。
このアイデアの良いところは、波や風が弱くても理論上発電可能になる可能性が高いことです。旗のような道具で発電できる可能性があると想定されています。もしそれが実現すれば、現在の風力発電の弱点たる「風が弱いとき発電できない」というところを克服できる可能性があります。波力発電に応用すれば、弱い波でも発電できる可能性が高くなります。
そうすれば、例えば風力発電機の稼働率を大幅に上げることができるはずです。ある程度強い風が吹かないと発電できない現状ではせいぜい35%程度ですが、そよ風でも発電できるようになれば、80%とか90%とかそういう水準の稼働率が実現する可能性があります。
もうひとつ、私が興味津々で眺めている技術は常温超電導です。
これが実現すれば、送電線の電力損失低減、発電機の出力向上、モーターの省エネ化をもたらします。水力発電と風力発電の利用価値を劇的に上げるはずです。単に発電機の性能が上がるだけではなく、都市から離れた山奥の水力発電所からほとんど損失なしで都市へ電力を供給できるようになります。
信じられないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、常温(27℃)で超電導現象を発現できる状態の材料が、部分的には既に観察されていて新聞で報道されています。ただ、「安定していつでも実現でき、人間がエネルギー産業に応用できる」という状態には程遠いです。現状では。
もちろん、上記3つの技術革新はまだ完成していません。実現するとして、それはずっと先の話です。実現するまで、我々は「原子力(核分裂)、重質原油、深海底産原油、天然ガス、石炭」を節約しながら使い続けると思います。同時に風力、太陽光発電、バイオエタノールの存在が次第に大きくなってくるとは思いますが、化石燃料とウラン・プルトニウムを全面的に代替することは当分無いだろうと思います。
万一解決策を模索する試みがことごとくうまくいかなければ、そのときは Petrocollapse がやってくるだろう、とも私は思っています。私がこの可能性を決して否定しているわけでないことはご理解いただきたいです。