では、全体をまとめましょう。

私が想定している「化石燃料の減退に対する人類の対処」は、

・省エネ化の進展によってエネルギー収支を改善させること

・システム生物学の進歩により、バイオマスを利用した燃料・化成品・食糧の生産が爆発的に増加させること

主にこの2つです。

風力や水力や波力や太陽光や地熱なども、今よりもっと使われるのかもしれません。

しかし、「化石燃料が単なる動力源としてだけでなく、人間が利用する道具の素材ともなっている」ことを考えますと、化石燃料が減退する将来においてバイオマス利用技術が死活的に重要になるのではないか、と私には思えます。

そしてバイオマス利用技術は、人間が作る道具の動力源としても、人間そのものの動力源としても、使うことができます。

更に、液体燃料は単にエネルギー源としてだけではなく、エネルギーの貯蔵手段としても利用できます。この点は電力源は皆本質的に弱点を抱えています。何か優れた電気エネルギーの貯蔵方法を見つける必要があります。

これらがバイオマス生産とその利用技術に私が着目する理由であり、風力や太陽光などの電力源を上回る重要性を持っていると考える理由です。

もっとも、上記のような社会が実現するには数十年かかるでしょうね。

私の考えでは、人間はそう簡単に石油の便利さを手放さないと思います。