前回の投稿で「いちいち保存していない」と書きましたが、1月下旬に一つとっておいてあります。
「フジサンケイ ビジネスアイ」という新聞があります。前身は「日本工業新聞」で、「日刊工業新聞」や「日経産業新聞」と並んで、産業界のニュースを専門に報ずる日本三大紙でした。
現在はノリが変わって、強いて言えば「産経っぽくニュースを選択する方向性は残しつつ、『文字を大きくして内容を少なめに抑えた日経』を目指し、流行の中国株をやっている人向けに中国株市況も載せている」とでも言うべき内容になっています。(ちょっと言い過ぎですか... ^^;)
私はたまに駅の売店で買います。たまたま1月31日(火)版を手に入れました。
11面に、石油メジャーの設備売却動向が報じられていました。
(Quote)
米の精製施設など売却
1970億円 シェルが石油下流合理化
英蘭系メジャー(国際石油資本)、ロイヤル・ダッチ・シェルは29日、米カリフォルニア州の精製施設やガソリン小売り網を米石油精製テソロに売却すると発表した。売却額は16億3000万ドル(約1970億円)に達する見通し。...(中略)...
シェルは下流事業の合理化などによる経営基盤強化を進めており、フランスやドミニカの精製施設の売却も決めている。
...(中略)...
報道によると、石油精製事業は過去2年、利幅が安定していたが、英BPや米シェブロンなどのメジャーも事業規模の縮小を進めており、「精製の黄金時代」が終わりつつあるとの分析も出ている。 (坂本一之) (Unquote)
こういった報道を見ると、私は「オイルメジャーの幹部連中は分かっているんだな」と思いますね。
世界各地で油田権益を持っている会社です。買収戦略でどんどん油田権益を買いつつある企業です。そういう会社が北米という大市場にある製油所を売却しつつあるわけです。
一方で、石油の需要は伸び続け、IEAも「2030年に向けてまだまだ需要は伸びる」と発表しているわけです。
その一方で、製油所の売却を進めているわけです。普通なら逆ですよね。需要がどんどん伸びると信じているなら、その市場へ供給しようと狙うはずです。新たに設備投資を積極化するべき局面のはずです。
一体これが何を意味しているのか。
私には、こういうことに思えます。
(1) 原油の産出量がこれから減少する。
(2) 原油の産出量がその精製設備の処理能力量より少なくなる。
(3) 井戸元の権益の重要性が精製設備の重要性より相対的に高くなる。だから油田権益はできるだけ買収しておく。
(4) 産出量減少が進行すると、いずれ精製設備は原料不足に悩まされる。
(5) 精製設備が原料不足に悩まされると稼働率が落ちる。だから現在新規に設備投資するのは危険だ。古い設備をだましだまし使うのが良い。
(6) 古い設備もいつの日にか原料不足に悩まされて稼働率が深刻に低下し、ついには精製工場閉鎖に追い込まれるだろう。さっさと誰かに売却し、設備を除却して損失を計上する役を誰かに押し付ける方が得だ。
ほかにも例えば、こういう情報もあります。
↓
http://aspo-ireland.org/newsletter/Newsletter69.pdf
上記のPDFファイルの9ページ目にある "746. The Retreat from Marketing" という部分を参照してください。