#233でご紹介しましたように、政府(おそらくは官邸)が立法措置をしてまでバイオエタノール直接混合方式を推進しようとしているふしがみられるわけですが、石油業界も「自分達を通さずに液体燃料が販売される事態だけは避けたい」と強く思っているようで、対抗策(譲歩案)を打ち出してきています。

日本経済新聞 1月25日(木) 11面

(Quote)
国産バイオ燃料 石連が購入へ

石油元売りの業界団体である石油連名は二十四日、大阪や北海道で生産する国産バイオエタノールを購入する方針を明らかにした。...(中略)...

石連は購入した国産バイオエタノールを貯蔵し、二〇〇八年末に新日本石油精製の根岸製油所(横浜市)内に建設するETBEの製造装置で利用する。当初ETBEはフランスから輸入するが、順次、国内製造を増やしていく方針だ。

国内では、大成建設や丸紅などが出資するバイオエタノール・ジャパン・関西(大阪府)が堺市で廃木材を原料にしたバイオエタノールの生産を始めた。北海道でも地元の農業協同組合がテンサイなどを原料にしたバイオエタノールの工場を建設、〇八年度中の稼動を目指している。

いずれも自動車用燃料としての利用を前提にしているが、自前で販売できる量に限界があるため、石油元売りとの連携を模索していた。 (Unquote)

ということは、

(1) 今年4月以降から来年末までの期間は、フランスから輸入するETBEをガソリンに製油所で(石油業界の勢力下で)混ぜる。

(2) 今年から大阪で生産される(既に生産されている)エタノールは、石油業界が買い取って来年末まで貯蔵する。

(3) 来年から北海道で生産開始予定のエタノールも、石油業界が買い取って来年末まで貯蔵する。

(4) 来年末にETBE製造設備が稼動開始するので、貯蔵しておいたエタノールとイソブテンを合成して自前でETBEを製造し、製油所でガソリンに混ぜて販売する。

こういうことですね。

政府が立法化しようとしている「製油所外でのエタノール直接混合の認可」を何としても実質的に阻止したい、という強い意志を感じます。