では、「ある程度モーダルシフトを導入したりするのは良いとして、人々が分散化した自由度の高い輸送手段を(少なくともそれなりに)確保できる状態を維持しつつ、ガソリンや軽油を非石油系の何で代替するか」について、私の見方を綴ってみましょう。

私達が代替エネルギーについて考える際、ある前提を当然のこととして、私たちは考えています。そのことから書きましょう。

石油を代替する新エネルギー源について論じるとき、「広く拡散しすぎている」とか、「間欠的にしか得られない」といった欠点が上げられることがしばしばです。

風力発電や太陽電池が良い例です。広い広い場所に設備を設置して、それでも火力発電所に電力生産量が適わない現実があります。

バイオ燃料もそうです。広大な土地で植物(作物)が育って、それを収穫して燃料工場まで運んで、それではじめてまとまった量の燃料を生産できます。しかし、その量たるや、油田で生産される液体には全く適いません。

農耕可能な広大な平原を有する世界最大のバイオ燃料生産国ブラジルですら、30年かけてやっとこさ、自動車用燃料の数10%を供給できるまでになった、という段階です。

自動車以外にも色々使われているものまで含めて石油系燃料を全部代替するなど、それも全世界規模で行うなど、今のところは全く現実的には見えませんね。

しかし、そこには見落としがちな前提があると私は考えています。