私が聞き及んでいるところでは、蒸気機関のそもそもの利用目的は製鉄ではなかったそうです。

石炭を掘り進むにつれ、イギリスでは次第に炭坑が深くなっていきました。

地面に穴を深く掘ると地下水が漏れ出してきます。

例えば地下鉄の駅舎や線路は、常に地下水と戦っています。漏れ出してくる水をポンプでくみ出しているのです。

最初のうちは家畜に滑車を引かせて水をくみ出していたイギリスの炭坑でしたが、深く掘るにつれ次第にくみ出すのが困難になってきました。

そこへ水をくみ出す自動機械が登場したわけです。

蒸気機関が炭坑以外 - 製鉄所や紡績工場や船舶や機関車 - で使われるようになってから、社会はがらっと変わりました。

自然の制約を自動機械が打ち破り始めたのです。

この現象は現在では「産業革命」と呼ばれています。

私に言わせれば、「エネルギー利用革命」です。