石炭の利用はシナで最も早く始まった、と私は聞いています。唐代に始まったと読んだ記憶があります。
ヨーロッパではもっとずっと遅かったようです。
しかし、これを工業的に大規模に利用することに最初に成功したのはヨーロッパ人、特にイギリス人でした。イギリスは石炭が豊富でした。(現在は、"Peak Coal" とでも呼びたくなるような現象が起こっています。石炭の産出量が減り、輸入国になりつつあります)
これはエネルギーの話というより政治の話っぽくなってしまいますが、私から見れば、イギリスとその旧植民地が現在の世界で幅をきかせているのは、石炭と石油の埋蔵資源およびその利用方法の開発を他者より先に支配してきたからです。
エネルギーの話は同時に政治の話であり、経済の話であり、軍事の話であり、みなさんの日常生活の話なのです。政治や経済を支えるインフラですから。単に科学技術の話だけではありません。
レーガン大統領が、確か1986年だったと思いますが、アメリカが重視する分野について演説したことがあります。
食糧(穀物を中心とした農産物)、エネルギー、情報、に関するものでした。
こういうのを見ると、その後に起こったIT革命の進展なんかを思い起こすと、アングロサクソン系社会で育った人たち(の中のエリートたち)が「何が世の中のキモか」よく理解していることが分かりますね。
そういうことですよ。
さて、イギリスで起こった変化は2種類あります。
一つ目はコークスの利用です。
石炭を燃やすと、煤がたくさんでます。中世末期以降に森林が枯渇したとき、たまたま石炭を多く産するイングランドでは、庶民たちに石炭の利用が奨励されました。しかし彼らは使いたがりませんでした。従来どおり薪を使いたがりました。
家の中に煤がたまりますからね。
日常生活よりも深刻だったのは製鉄・金属精錬でした。
昔は薪を蒸し焼きにしてつくった木炭を燃やして製鉄していたわけです。
しかし薪がいよいよ貴重になると、製鉄に石炭を使わざるを得なくなりました。ところが、石炭には硫黄が含まれています。
石炭で製鉄すると鉄に硫黄が混じって弱い製品になってしまいます。
困っていたところへ、誰かが石炭を蒸し焼きにすることを考え付きました。木材を蒸し焼きにして木炭を製造しますが、それと同じ発想ですね。
蒸し焼きにすると硫黄やタールなどが浸みだしてきます。
そうして出来たコークスは、煤が少なくなりました。が、それでもまだ、硫黄が多少混じります。
それでも、煤や硫黄の少ない、しかも重量あたりの炭素比率が蒸し焼きにしていない普通の石炭より高い、強い火力を得られる燃料としてのコークスが得られました。石炭の大規模な利用が可能になる第一の条件が揃ったのです。
ヨーロッパではもっとずっと遅かったようです。
しかし、これを工業的に大規模に利用することに最初に成功したのはヨーロッパ人、特にイギリス人でした。イギリスは石炭が豊富でした。(現在は、"Peak Coal" とでも呼びたくなるような現象が起こっています。石炭の産出量が減り、輸入国になりつつあります)
これはエネルギーの話というより政治の話っぽくなってしまいますが、私から見れば、イギリスとその旧植民地が現在の世界で幅をきかせているのは、石炭と石油の埋蔵資源およびその利用方法の開発を他者より先に支配してきたからです。
エネルギーの話は同時に政治の話であり、経済の話であり、軍事の話であり、みなさんの日常生活の話なのです。政治や経済を支えるインフラですから。単に科学技術の話だけではありません。
レーガン大統領が、確か1986年だったと思いますが、アメリカが重視する分野について演説したことがあります。
食糧(穀物を中心とした農産物)、エネルギー、情報、に関するものでした。
こういうのを見ると、その後に起こったIT革命の進展なんかを思い起こすと、アングロサクソン系社会で育った人たち(の中のエリートたち)が「何が世の中のキモか」よく理解していることが分かりますね。
そういうことですよ。
さて、イギリスで起こった変化は2種類あります。
一つ目はコークスの利用です。
石炭を燃やすと、煤がたくさんでます。中世末期以降に森林が枯渇したとき、たまたま石炭を多く産するイングランドでは、庶民たちに石炭の利用が奨励されました。しかし彼らは使いたがりませんでした。従来どおり薪を使いたがりました。
家の中に煤がたまりますからね。
日常生活よりも深刻だったのは製鉄・金属精錬でした。
昔は薪を蒸し焼きにしてつくった木炭を燃やして製鉄していたわけです。
しかし薪がいよいよ貴重になると、製鉄に石炭を使わざるを得なくなりました。ところが、石炭には硫黄が含まれています。
石炭で製鉄すると鉄に硫黄が混じって弱い製品になってしまいます。
困っていたところへ、誰かが石炭を蒸し焼きにすることを考え付きました。木材を蒸し焼きにして木炭を製造しますが、それと同じ発想ですね。
蒸し焼きにすると硫黄やタールなどが浸みだしてきます。
そうして出来たコークスは、煤が少なくなりました。が、それでもまだ、硫黄が多少混じります。
それでも、煤や硫黄の少ない、しかも重量あたりの炭素比率が蒸し焼きにしていない普通の石炭より高い、強い火力を得られる燃料としてのコークスが得られました。石炭の大規模な利用が可能になる第一の条件が揃ったのです。