#132の続きです。
SGWさんとこなどでも取り上げられていますが、11月2日の新聞報道以来この話が盛り上がってきましたね。先月はバイオエタノール関連の記事が急に増えました。
基本的な私の見解は#132で述べた通りで今でも変わりません。
付け加えることとしては、「エタノール派(農林水産省、環境省)」と「ETBE派(石油業界)」の対立をしばらくは観察しているしかなさそうだ、ということですか。
色々記事を読んでいると、経済産業省は基本的には石油業界側に立っているのですが、どうも不明確なところがある感じが私にはします。
私は、長い目で見るとETBEが負けてエタノールがガソリンの添加剤として勝ち残るのではないか、と思っていますが、当面(来年?)はETBEがとりあえず東京近辺ではお目見えするのかもしれません。
この問題はなかなか興味深いので、関連する記事の概略でなく、その全文を載せていこうと思います。
まずは、その端緒となった記事から。
日本経済新聞朝刊 11月2日(木) p5
(Quote)
バイオ燃料 首相、普及促進を指示 - ガソリン消費の1割目標
安倍晋三首相は一日、首相官邸で松岡利勝農相と会談し、植物資源を使った国産バイオ燃料の普及を促進するよう指示した。ガソリンの年間消費量の一割にあたる約六百万リットルをバイオ燃料で賄うことをめざす。農林水産省を中心に関係省庁を集めた推進会議を近く新設し、目標の実現に向けた工程表を来春をめどに取りまとめる。
首相は同日、官邸で記者団に「地球環境、地域活性化や農業の活力の観点から、ガソリン使用量の中のバイオ燃料の比率を上げていくべく、政府として取り組んで行きたい」と語った。首相は所信表明演説でもバイオ燃料の利用加速を打ち出している。
バイオ燃料はサトウキビなどの植物や廃木材をもとに生産。主要な燃料であるバイオエタノールは自動車向けとして、ガソリンに混ぜて使う。政府は全国六カ所でバイオ燃料の試験生産に取り組んでいるが、二〇〇五年の生産量は三十キロリットルにとどまり欧米諸国に比べ大きく劣っている。
バイオ燃料の利用が広がれば、石油消費量の抑制や地球温暖化の防止のほか農業振興にもつながる。まず北海道と沖縄を実用化の拠点とし、農家などでの生産体制の整備などを急ぐ方針だ。 (Unquote)
石油消費量が抑制されるかどうか、地球温暖化を防止するのに役立つかどうか、農業振興を促進する効果があるかどうか、は別にして、何はともあれ、
・首相が農林水産大臣に指示した
・推進会議が農林水産省中心の会議となる
ことは、この記事からは間違いなさそうです。
後日記事を掲載しますが、石油業界の業界団体はこの件について強く反対意見を出しています。しかし、この記事に書いてある情報が間違っていると主張してはいません。石油会社の主管官庁たる経済産業省も同様です。
「首相がバイオエタノール利用を推進しろと命じたとは聞いていない」というところまでは、石油連盟の会長が発言しているんですけどね。それ以上言わないところを見ると、それ以上言えない事実があるんでしょうね。
さて、そういうことになりますと、推進会議の事務局を農林水産省の官僚が牛耳り、経済産業省ひいては石油業界の意見が通りにくくなる事態が予想できますね。