「ジャトロファ」(jatropha cursas)と呼ばれる植物があります。

元々はカリブ海の北側、西インド諸島が原産地とされているこの植物は木本(きほん) - 背の低い樹木です。

油脂を豊富に含んだ実をつけます。残念ながら食用にはなりませんが。

この植物は乾燥に強く、気温の高い亜熱帯地域なら、年間降水量400mm程度の環境でも育ちます。

欧州の支援団体が、ジャトロファを利用したアフリカ乾燥地帯の農村の生活向上を目指して活動しているようです。

私の考えでは、ジャトロファをさらに品種改良し、なんとか沙漠地帯でも育つようにできないかと思います。

そうすれば、沙漠に木を生やすことができます。砂嵐や羊の食害などありますから、簡単でないのは明らかですが。

沙漠に木を生やすということは、「それまでバイオマスを生産できなかった場所で、新たにバイオマスを生産できるようになる」ということです。

これはつまり、「生物圏内におけるバイオマス生産量を、ネットで増やす」行為です。

前回書いた熱帯での燃料作物栽培は、燃料作物の生産には適当なのでしょうが、バイオマス量をネットで増やしているかというと、必ずしもそうとは限りません。

本来熱帯雨林が生い茂っているはずの場所で森林を破壊して燃料作物を育てるわけです。バイオマスを減らしたその後にバイオマスを人工的に増やすわけです。

そうしますと、ネットでバイオマス量が増えているのかどうかはわかりません。

セルロースやヘミセルロースを燃料に転換できるということは、自然のままの熱帯雨林それ自体も燃料源だということです。

ですから、熱帯雨林を破壊して燃料作物を植えるのがどれくらい有利なのかは、(生態系保護ということを別に考えるとしても)慎重に検討しなければならない、と私は考えています。

沙漠でジャトロファを植林できたら、これはすごいですよ。

・ネットでバイオマス量=セルロース+ヘミセルロース量が増える

・セルロースとヘミセルロースからエタノールを生産できる

・油脂が採れるので、バイオディーゼルを生産できる

・技術開発次第では、セルロースをデンプンに転換できるようになるかもしれない。沙漠が実質的に農場になる

いや、まあ、私の妄想です。まだまだ。

それに、遺伝子操作がどれだけ危険なのか安全なのか、まだまだ未知の部分がたくさんあるのは事実です。

しかし、植物の繊維質を少ないエネルギー投入で分解できるとなった途端、色々な可能性がこのように開けてくるわけです。また、バイオテクノロジーの進歩によって品種改良をやりやすくなった途端、このように可能性が開けてくるわけです。

エネルギー省が主導している研究開発にものすごい可能性があるということです。今後の進展を見守ろうと思います。