(7) 天然ガス田の新規開発の困難:
ガス不足に直面しつつあることから、南シナ海の「ナツナ(Natuna)天然ガス田プロジェクト」をいよいよ実行しようとインドネシア政府は努力している。
開発権を奪うとエクソンモービルを脅してまで開発を促進しようとしているが、もともとから海底ガス田である上、二酸化炭素含有率の高く、またガス層が地理的に分散しているガス田らしいので、販売価格が相当上がるまで開発は進まないものと予想する。
また、仮にナツナ・プロジェクトが実施に移されて日本に輸入できるようになったとしても、それは5年以上先の話。(設備の建設には最低でも3年はかかる。事前の準備等を考えると楽観的に見て軽く5年はかかる)
条件の良い油田・ガス田が先に開発され、産出量が減って苦しくなってから開発される油田・ガス田は条件の悪いものが多くなる、というピークオイル論者の論ずるところの典型例と考える。
(筆者註: このほかに、中国との資源の取り合い、という問題もあります。9月22日の日経朝刊9ページを参照してください。CNOOCがLNG輸入を拡大することにインドネシアとマレーシアの企業と基本合意した、と報道されています)
(8) 代替エネルギー①: 液体燃料編
日本の経済産業省は必死になって石炭液化に取り組み始めた。「アジア諸国向けに石炭液化技術研修」と言っているが、「インドネシア対策」であることは明らかと言える。
インドネシア側も、バイオ燃料開発をしようとしている。
どちらも技術的には十分実用可能になっているので、ある程度石油系液体燃料の供給不足を緩和させる効果はあると考えるが、ピークアウト後の産油量減少が急激であることから、追いつくのはかなり困難と考える。(筆者註: それでも何もしないよりはましだと思います)
(9) 代替エネルギー②: 電力編
燃料高騰のため国内では電力不足になっている。このため原子力発電・地熱発電への転換が模索されている。今後は地域の実情に応じた代替電力源の開発が重要になる。(日本ではどうすべきか...?)
(10) インドネシア西北端アチェ州は天然ガスの豊富な地域だったため、有力な化学肥料工場があった。しかし、天然ガス枯渇により、肥料生産が中止に追い込まれている。これこそ「ピークフード(Peak Food)」論が正しいことを示す実例。今後化石燃料が入手困難となるにつれ、食糧生産の困難にも次第に目が向けられてくるだろう。