燃料生産に適した植物品種の候補として、エネルギー省は次の2つを挙げています。
(1) スイッチグラス(switchgrass)・・・ 丈の高い(3~4m)イネ科の多年草
(2) ポプラ
この2つを選ぶのにも、相当検討したようです。例えば、以下のような考察をしています。
・多年性の方が、土壌中の養分の豊富な腐植土や塩類を、一年性よりも有効に使える。(節約しながらより多くの生産を期待できる、という意味)
・多年性の方が、一年性よりも、遺伝的な多様性を保ちやすい。(病気や特定の害虫に燃料作物が一網打尽にされる危険性を下げることができる)
スイッチグラスは荒地でもとりあえず育つ植物で、既存の農地を減らさずに荒地で燃料作物を栽培できるという利点を持っています。
ポプラは、その細胞壁に占めるリグニンの割合が比較的小さい植物種です。
セルロース・ヘミセルロース・リグニンが細胞壁に占める重量%は、植物種によって異なります。ポプラの場合、リグニンの割合が18%程度で、植物の中でも最小レベルに属します。
リグニンはエタノールの原料になりませんので、リグニンの割合が小さければ小さいほど燃料作物としては優れているわけです。
ただし、リグニンが植物体を構成する重要な物質であることに変わりはありません。あまりに少ないと、弱い細胞壁になってしまいます。
必要な強度を維持しつつ、最大限の(燃料の)収穫を得る、そういう燃料作物を創り出そうというわけです。
もちろん、光合成量をできるだけ多くする、といった改良も加えるべく想定されている改良の一つです。