そこでエネルギー省では、以下のようなことをやろうとしています。

(1) 植物体の化学的組成に手を加える。遺伝子を操作することにより、セルロース・ヘミセルロース・リグニンの組成比率を変えたり、それぞれの結合の仕方を変えたりし、新品種を作る。この方法により、酵素で分解するのに都合の良い植物品種を作りだすことを目指す。

(2) 細胞壁を分解するのに適した酵素 - セルラーゼ・ヘミセルラーゼ・リグニナーゼ - を大量生産する方法或いはそれらを生産する生物品種を開発する。

(3) 上記の酵素が最も効果的に機能する温度・圧力等の条件を備えた一連の生化学プロセスを開発する。(エネルギー収支が良くなければならないのは当然の前提)

リグニンを分解するリグニナーゼについては、"white rot fungus"(註)と呼ばれる菌類が注目を浴びています。リグニナーゼを有しているとわかっている生物で、その遺伝子が解読されているものは、まだこれだけだとのことです。

もっとも、遺伝子が解読されただけであって、それぞれの遺伝子がどういう機能を果たしているか、どう生物体が生成されていくのか、といったことは、まだ分かっていません。

- - - - - - - - -

註: 調べてはみたのですが、今のところ日本語でこの菌類を何と表現するのかよくわかりません。"Fungus" は(男性)単数形で、複数形は "fungi" です。イタリア料理店に行くとメニューに茸を意味する "funghi" という言葉が出てきますが、同語源です。この菌類は、自然界には普通に存在するようです。