セルロース分子を分解すること自体の困難さも重要な難関です。

セルロースを分解する物質は、その存在がずっと以前から知られてはいます。

「セルラーゼ」という酵素です。

馬や牛は植物の繊維質を消化吸収し、エネルギー源としています。

彼らの腸内にはセルラーゼを生産する微生物が住み着いています。そのおかげで植物の繊維質をエネルギー源にすることができるわけです。

ゴキブリやシロアリの体内にも、セルラーゼを生産する微生物が住み着いています。

これら自然界に存在するセルラーゼによる加水分解反応は、そのままでは工業的に応用するには遅すぎ、工業的なエネルギー生産には使えないようです。

セルロース分子の表面は水分の浸透がなかなか起こらないため、酵素が効きにくいのが理由の一つだそうです。

エタノール製造用に収穫した植物は、多くの場合(人為的に)乾燥されていますが、それも酵素を効きにくくしている理由の一つのようです。

また、セルラーゼが働くのをリグニンが邪魔しているようです。