「前処理」のために、「細胞壁を硫酸と混ぜて加熱する」と前述しました。

このことは、「細胞壁を構成する3つの主成分がとても強力に結合しているので、硫酸という強力な薬品を使い高温で反応させないと、その結合を崩せない」ということを意味しています。

もっとも、考えてみれば当たり前、というか、そうであってくれないと困る性質のことではあります。

もし簡単に細胞壁が壊れるのだったら、どんな事態になるか...

木造家屋は朽ちてしまいますね。

本や雑誌も腐ってしまいます。

木製のタンスやベッドは、何度も買い換えなければならなくなります。

「細胞壁を構成する3つの主成分がとても強力に結合しているおかげで、また、それら3つの主成分が高分子化合物であるおかげで」、我々は木材や紙を長期間の使用に耐える丈夫な素材として使うことができるわけです。

考えようによっては、「セルロース系エタノール製造技術開発は自然の摂理に対する挑戦/反抗」なのかもしれません。