#77で述べた「前処理→加水分解」工程に内在する欠点は以下のようなものです。
(1) 酸で細胞壁をどろどろに溶かす過程で、セルロース・ヘミセルロースを構成する糖分の一部が失われてしまう。
(2) 高温に加熱するため、エネルギーを大量に消費する。エネルギー収支が悪化する。
(3) 酸として主に使われる硫酸は、石油や石炭から製造する。化石燃料の投入なので、これもエネルギー収支悪化要因である。(硫酸の原料として化石燃料を投入し、硫酸の製造工程に投入するエネルギーとして化石燃料を投入し、製造した硫酸をエタノール工場まで搬送するのに化石燃料を投入しなければならない)
理論上得られるはずの量の糖分が得られていない上に、エネルギーをたっぷり投入してやらないと生産できないわけです。
エネルギー収支が低い理由の一つが「硫酸を投入して加熱する」ことですので、そこを回避するべく、「前処理→加水分解」工程を「生化学的に」行おうという研究をエネルギー省は進めています。