リンク先「ん!」のSGWさんから#15の(2)に対するコメント <http://www.janjanblog.jp/user/stopglobalwarming/forum2/2966.html#comments > をいただきました。

「官庁とメディア」はまだ後に続けていくつもりですので、以下に述べることの一部はもう少し後で書こうかと思っていたのですが、ここでSGWさんへの返答を兼ねて述べます。

(1) 日本では何かことが起こると自己責任の範囲をあまり考えずに役所に責任を追及する傾向がまだまだ残っている。

(2) 役所の側もそういう傾向があることを承知していて、それは「痛し痒し」と思っている。(責任を追及されるのは困るが、依存されることにより自らの権限を行使できる範囲を拡大する機会が増えることは歓迎している)

(3) 日本の大手メディアには記者クラブ経由の情報に少なからず依存しているという根深い問題があり、役所が迂闊に「安い石油は枯渇する」と明確に言った上でその後を放置してしまうとメディアの側が大騒ぎしてしまう、という可能性を考慮しておく必要が役所の側にはある。

(4) また、仮に「全世界石油生産が頭打ちになる一方で、米中印を中心に世界の石油消費が現在の調子で増加し続けるために、供給が不足する」と中央官庁が大声で突然言ってしまうと、例えばガソリンや砂糖や洗剤の買占めが一部の地域で万が一発生した場合に、発言したことそれ自体に対して役所の責任を問う声があがる可能性がある。

(5) 役所としては(3)の「メディアが大騒ぎ」および(4)のような「役所の責任を問う声があがる」事態はできるだけ避けたい。そこで、大手メディアに言い含めた上で当分の間少しずつ情報を小出しにしていき、同時に対策案を少しずつ充実させておき、「その日」が来たときにすぐ対策案を展開してみせられるよう、明確に発表する頃合を計っている。

こういった想定を私はしています。

私が「パニック」と表現したのは、(3)の「メディアが大騒ぎ」および(4)の「買占めを発生させた責任を役所に問う声があがる」ような事態を主に想定しています。この程度のことであれば、SGWさんが示唆されている通り「パニック」は妥当な表現とは言えないかもしれません。私は「社会生活全般が麻痺するほどの深刻な事態に日本社会全体が陥る」と想定しているわけではありません。

ところで、上記(5)として私が書いたことが仮に役所が考えている通りだとして、それは「対策案をそこそこ準備できる」という希望的観測に基づいていると思います。そんなに都合よく素晴らしい対策案を出せると思っているとしたら甘い考えだと思いますが、経済活動を管掌する役所としては「打つ手はありません。生活水準を下げるしかない」とは言いたいくないでしょう。「そんな発言をしたら、任務を放棄していると見られかねない」と官僚は考えるのではないかと思います。

上述しましたように、「官庁とメディア」はまだ続けますが、その中で私が書いていることのかなりの部分は物的証拠を欠いていて、憶測・推定に基づいている部分が少なくありません。こういう分野では、物的証拠を市井の一個人が集めるのは困難です。ただ、推定にも私なりに見つけた状況証拠があり、推定に基づくシナリオを念頭において状況証拠をつなぎ合わせていくと、ぼんやり事態の推移を眺めているときでは考えられないような解釈が可能になることがあると私は考えています。