先週から今週にかけて、General Electric が事業の売却・買収について立て続けに3つ発表している。

(1) プラスティック事業の売却予定

(2) 石油採掘設備メーカーの買収予定

(3) 航空機部品・自動車部品メーカーの航空機部品事業の買収予定

ご存知の通り、GEは去年日立製作所と原子力事業を統合すると発表している。その前にテキサス州で日立と原子炉新設案件を共同受注している。

GE側からの発表ではないが、三菱重工業にメキシコ向け原発設備の一部を下請けに出すことも決めている模様だ。

とても気になる一連の動きだ。

プラスティック事業は、金融事業が成長する前にGEの看板事業だったものだ。Jack Welch はここで育っている。それを売却するという。

金融事業が利益の半分を占めるようになっているとはいえ、これは大きな動きだと思う。

何が意志決定の背後にあるのか。

まず、「エネルギー重視」ということが挙げられる。これは間違いない。

原子力の強化と石油生産への関与への動き。

続いて、航空機パーツ製造事業の強化。

GEは元々からジェットエンジンの世界最有力メーカーの一つだ。そこへさらにプロペラなどの部品を生産する事業を買収する。

プロペラ製造だけの事業なのかどうかわからないが、想像をたくましくすると、一つには風力発電機製造事業を強化したがっている可能性がある。

ちなみに、GEの風力発電機製造事業は5年前にエンロンから買収したものだ。その後順調に拡大している。

もう一つの可能性は、航空機のパーツ製造の範囲を、今までの「エンジンだけ」から拡大することだ。

これらの動きが何を意味しているか?

個人的な意見に過ぎないが、「石油を中心としたエネルギー危機」の到来を予見しているように思える。

プラスティックを製造するには、原料としての石油が必要だし、それだけでなく、加工するためにたくさんのエネルギーをつぎ込まなければならず、そのエネルギーは化石燃料に多くは由来している。

一部で予見されているように近い将来に石油生産がピークを迎えるとすると、プラスティック製造の原料が不足し、かつ加工するために必要なエネルギーも不足することが予想される。

稼働率の低下があるかもしれない。

稼働率が低下すれば、必要な売上は確保できなくなる。一方で設備と従業員がある以上固定的に出て行く費用は常に存在するし、原材料が高騰するから仕入原価も生産量減少ほどには減らず採算が合わなくなるだろう。

石油が不足すれば、ますます「石油を採掘する努力」が求められる。「石油採掘設備製造事業」の価値は上がる。

石油が不足すれば、原子力発電と風力発電には追い風だ。

石油が不足すれば、産油地帯を勢力圏として確保する必要が高まるから、ますます軍事力が必要になる。GEが伝統的に関与している軍需産業は航空機(今まではエンジン)で、これはこれで重要だが、もっと拡大できるに越したことはない。

こんなところか。

んー。あまりにしっくり来過ぎる想像だ。