経緯を振り返ってみよう。


7月5日: 朝鮮、ミサイル発射実験(発射の事実は確認済み)

8月2日: 人民解放軍瀋陽軍区の部隊が、中朝国境にある長白山(朝鮮名: 白頭山)で軍事演習を実施

8月下旬or9月1日~: 中共、石油の対朝鮮供給を停止(継続中?)

10月9日: 朝鮮、地下核爆発実験実施と発表(爆発の成否は未確認)

10月12日~ : 人民解放軍済南軍区の部隊が軍事演習を実施

10月31日: 朝鮮、米中に6カ国協議再参加への同意を示す(時期は未定)


起こった事柄の表現を変えて並べなおしてみると...

① 朝鮮は弾道ミサイル発射実験を行った。

② 中共は朝鮮のミサイル実験に対して怒った。ミサイル発射から1カ月後に、朝鮮民族のシンボル白頭山を演習地にわざわざ選んで軍事演習を行った。

③ その後石油を禁輸した。(禁輸まで時間がかかっているので、中朝間で非公開のやりとりが色々あったに違いない)

④ 石油が禁輸された後に「核爆発実験を実施した」と朝鮮は発表した。

⑤ 核爆発実験実施の直後に、中共は「朝鮮半島担当」とされている済南軍区の部隊に軍事演習を行わせた。

⑥ 核爆発実験実施を発表した後に、朝鮮は6カ国協議への再参加に同意を示した。


ということは、「朝鮮は、石油を禁輸されたから6カ国協議に再度参加することに同意したわけではない」ということだ。

また、「中共は、核爆発実験に対して怒ったあまり石油を禁輸したわけではない」ということだ。経緯を見ると、中共はミサイル発射実験に対してまず怒ってみせている。

そして朝鮮は、「石油を禁輸してまで怒りを露にした中共を前にして、一度核爆発実験を実施してみせた」ということだ。或は少なくとも「核爆発実験を行ってみせたポーズをとった」というわけだ。

ということは...

「核爆発実験を実施した時点で、『6カ国協議には再度参加するポーズを少なくとも見せよう』という意思決定を朝鮮がすでにしていた可能性が高い」とmattは思う。

朝鮮が核爆発実験を実施したと発表することにこだわっていたこともわかる。エネルギー枯渇ぎりぎりまでの危険を冒しているからだ。

こういったことを考えてくると、「週刊アカシックレコード」の佐々木敏氏が述べているように、mattには「この核爆発実験発表は中共向け」と思える。(mattの論点は佐々木氏のそれとはずれているかもしれないが)

「何らか中共に対して不安を覚えなければならない理由」が金正日にはあるように思えてならない。

「中共が朝鮮に介入して傀儡政権を樹立する計画を立てているのでは?」という疑いは、例えばこういうところから出てきている。