混同しやすいので説明しておく。
8世紀から9世紀前半にかけて東アジア~中央アジア東部の覇者となったウイグルは、現在の中国少数民族としての「ウイグル族」とは異なる人々だ。
前者を「中世ウイグル」、後者を「現代ウイグル」と、ここでは呼ぶことにしよう。
中世ウイグルの中核となった人々は遊牧民。一方、現代ウイグルはオアシス都市に定住する農耕民だ。言語はどちらもテュルク系であるという意味では似ている(註)。
現代ウイグルは、1930年代半ばにトルキスタン東部地区(旧新疆省)の住民が独立運動を起こしたときに、自らの民族名を「ウイグル」に決めている。オアシス定住民の間でも、ウイグルという称号は歴史的記憶を呼び覚ますものらしい。
一方で、新疆ウイグル自治区の遊牧民は、現代ではカザフ族と呼ばれる人々が中心になっている。
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註: 残念ながらmattには、現代ウイグルと中世ウイグルの言語がたがいに通じ合うほど類似しているかどうかまでは分からない。が、現代のテュルク系諸語を話す人々は、互いに母語でしゃべりあってかなり会話が成立するということを何かで読んだ記憶があるので、近い言語なのかもしれない。
例えば、アナトリアとヨーロッパの一部に領土を持つトルコ共和国の主要民族トルコ人と、中央アジアのカザフ人・ウズベク人あたりが話すと、今でも半分くらいそのまま通訳なしで通じると読んだことがある。イタリア人とルーマニア人が互いに母語で話して半分くらい通じると塩野七生が書いているが、それと似たようなものだろう。