前回まで3回の投稿を見返してみると、誤解を招きかねない記述があるので、mattの個人的な立場・見解を補足しておく。


(A) UN安保理常任理事国に日本が立候補する件

この件については、mattは特に賛成も反対もしない。中国共産党政権が反対することは分かりきっている(註1)。拒否権を持つ中国が反対している以上、日本が新たに常任理事国になれる可能性はゼロと言ってよいと考える。現在の制度ではこれは仕方ない。別になれないからといって、特にすぐ困ることもない。

常任理事国就任の不利益も考え得る。日本はアメリカへの依存度の高い国だから、アメリカが戦争を起こしたくなったら安保理会議の場で協力することになるだろう。常任理事国になったら、いよいよ日本もアメリカが攻撃する国とそれに加担する国に対して敵対行動を明確にとることになる。長い目で見てそれが得策か不利益かと言われたらなんともいえないが、とにかくリスクは大きい。このリスク負担をする覚悟が我々自身にあるかどうか、よく問いただしてみるべきだと思う。


(B) UN-安全保障上の既得権を、日本が打ち破る上での方向性

全く個人的な意見だが、UNはUNESCOやUNICEFなどの福祉機関のみにしてしまい、UNとは別に数カ国で安全保障同盟を作る手が考え得る。(註2)


(C) 日本とアメリカとの同盟関係について

mattは日米同盟を支持している。一方で、アメリカの覇権の下に日本が居て、アメリカの言いなりになっている状態を歯がゆく思いつつも、やむを得ないと受け入れている。

「アメリカと同盟をしつつ、対等の関係にたてる」などということは夢想していない。現状では不可能だと思う。「対等の関係を主張することを許す」には、日本はアメリカにとって強力過ぎる国だと思う。

一人の日本人として全く面白くないが、アンクル・サムに花も実も持たせ、おこぼれに預かるしかないだろう。アメリカが強い間は。(註3)


(D) 中共政権のlegitimacyについて補足

以下が中共政権legitimacy低下の原因だと思う。

 (D-1) 毛沢東思想を棄てたこと(毛沢東こそ真にカリスマだった)
 (D-2) 大躍進・文化大革命で、大規模な内戦をやってしまったこと
 (D-3) 同時期に台湾が高度成長を遂げたこと
 (D-4) 共産党の教義にない理屈で実質的に資本主義を目指していること

今中国は高度成長しているとされているが、それでも、mattが中国人だったら、特に農村の中国人だったら、1985年時点でも、1995年時点でも、2005年時点でも、やはりこう思うだろう。

「台湾の連中、うまいことやったな。それに比べて俺たちはどうだ? 大躍進・文革でめちゃくちゃになっちまった。毛沢東が蒋介石に負けてくれたらよかったのによ」(註4)

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註1: 日本から独立する前に独立運動がロクになかったため、日本支配時代を悪し様に言わないとlegitimacyを確保できない韓国政府も同様だと思う。今回の両国、別に驚くような反応ではないと思う。

註2: こういう安全保障に関する既得権の変更には、普通は戦争が必要だ。

註3: それでも、シナやロシアが覇権国であるより、はるかにましだと思う。

註4: 14年前ある香港人から衝撃的な意見を聞かされた。「第二次大戦で日本が勝ち、シナ全土を占領していてくれたらよかった。そうして俺たちの国を作り変えてくれていれば、今頃中国も発展していたのに」というのだ。当時はびっくりしたが、その後歴史を読みすすむにつけ、特にシナ人の側の華夷秩序観を知るにつれ、彼の意見には一定の合理性があると思うようになった。中華の外から来た人でも、中華になり得る。シナの歴史にはその実例が満ちている。長城より北で牧畜していた満州人が中華になれるのなら、シナ人の感覚では日本人が中華に参加することに障害はないだろう。

(投稿後に加筆) この香港人の発言には「日本人は俺たちとは違う」という思いがにじみ出ている。「シナ人は日本人に一目おいている」と3月1日に書いたが、そう思うようになった最初のきっかけはこの経験だ。