昨年11月のパリ同時多発テロから半年も経たぬうちに、今度はベルギーのブリュッセルでも連続テロが起きた。今現在報告されている死者数は34人。共にISISが関与している。自爆テロをすることで天国へ行けると思い込んでいる信者による犯行である。





テロ(テロリズム)とは、政治的目的(ここでいう政治的目的とは、政権の奪取や政権の攪乱・破壊、政治的・外交的優位の確立、報復、活動資金の獲得、自己宣伝など)を達成するために、暗殺・暴行・破壊活動などの手段を行使すること。またそれを認める主義。日本の言語で言うところの、恐怖政治のことだ。





それにしても、なぜISISが若いムイスラム教徒を引きつけるのか。それは、彼らが不遇な人生を歩んでいることもあるだろうが、それより何より、ISISの主張がイスラムの教えに照らして論理的に「正義」だからだ。この誤った理想主義、正義感こそが、自爆テロという恐ろしく愚かな行為を生み出している、と私は考える。





私は、今回のブリュッセルの連続テロで多数の死傷者が出ていることに、心が痛むと同時に、強い憤りを感じる。テロは、いかなる理由があろうとも、断じて許される行為ではない。




ISISによるテロは、日本も決して、対岸の火事、ではない。昨年1月に、安倍首相がイスラエルやエジプトを歴訪したが、これにより、ISISは「日本はアメリカなど十字軍連合の味方で、ISISとは相容れない」という、彼らの活動にとっての合理的な動機を新しく得ることになった。湯川さん、後藤さんの殺害後、ISISは彼らの英字機関誌『ダービック』上で、「日本人は世界中どこにいても標的になる」と宣言した。このようなISISの日本に対する見方、また、近年の、外国から来るのではなく、国内にいる人間が同種のイデオロギーにより過激化してテロを起こす、という経緯を考えると、日本も欧米と同じように、ISISによるテロを厳重に警戒していかなければならない。