音楽会の最後の曲は美しく青きドナウ2 | Good Luck & Take it Easy         Restart from 64        FUJIYAMAROLL

 ピアノの激しい旋律からの管弦楽器との融合。流石に有名曲だけのことはあると思いながら、本来役割としてはオーケストラに見入ってはいけないのだがしばらくの間、ステージ上で繰り広げられている美しい音たちに吸い込まれていた自分から、おっとっとと我に戻り客席を見ると、まだ始まって間もないのに早くも目を閉じて聞き入っている人がいると思いきや、寝ているようにも思える人もいる。きっとこの中には、色々な関係でのお付き合いで仕方なくここに座っている人も多くいることだろう。まあ一般的にクラシックコンサートとはそういうものだ。そうこうしているうちに一曲目が終わり指揮者による挨拶が始まった。と同時に会場の左右のドアが開き開演に間に合わなかった観客たちがどっと入ってきた。開演後は曲間にしか入場できないためにこの時間を扉の外で待ちながら一曲目を聴いていたのである。2時間弱のうちの10分ほどなのでまあ聞かなくても許せるには許せるのだろうけれどやはりコンサートは始まりから聴きたいものだ。色々な事情はあったのだろうけれど確実に損をするようなことはできればしたくないものだ。

ドアから駆け込んだ客たちはピアノソリストのアンコールは聴けたもののメインのグリークは聴けなかったことを考えるとコンサートの半分くらいは損をしたのではないだろうか。まあピアノではなくオーケストラの演奏はこれからなのでそれはいいやと思っている人達もいるのかもしれないが。

アンコールはピアノ独奏。それにしても今日のピアノソリストの弾き方は力強い。それこそ鍵盤をたたいているという表現がぴったりくるような弾き方である。あのような弾き方をしている姿を見るとどうして間違えないのかなと思うのはきっと私だけではないはずだ。しかし間違えないのには理由がある。彼には才能と練習が備わっているからだ。ピアノだけでなく物事を極めている人たちはおさえ間違えるなんて想像にするらない。どのように弾くかに対しての間違いはあるのかもしれないがそれすら素人にはわからないのである。

そうしてピアノソリストのアンコールが終わり一部が終了して休憩に入った。ドアに向かって人の波が押し寄せると同時に私はドアを開け固定する作業に入った。その間、その作業に構わず人はどんどん押し寄せる。私はドアの固定を終えるとロビーに向かった。さて休憩中の仕事はなんだったかな。