若者の旗 | Good Luck & Take it Easy         Restart from 64        FUJIYAMAROLL

 現在の日本は経済的には失われた20年を象徴する負の時代に入っている。特に最近では物価は上がり、税金は上がり、しかし収入は減り、暮らしにくくなっていることは確かだ。そんな中でも部分的には好調・拡大はあり、俗に言う”うまくやっている人たち”も多くいて経済的な格差は広がっている。そんな状態に加え、個々を大切にする考え方、多様化という名のもとに社会の状態も変わってきている。気持ちより金、社会よりも個人とでもいうのだろうか。科学は発達し便利にはなったとはいえ暮らしやすい世の中ではないような気もする。それじゃあ昔はよかったのか、私が幼い頃は良かったのか。


 戦後の日本は貧しかった。敗戦後の日本は混乱どころか本当に何もない世の中だったのだろう。そんな状態でもあの長く苦しい戦争が終わったことで皆の気持ちは良い方向に向かっていったのであろうか、世界の強国に追い付け追い越せとみんな頑張って働き、少しでも自分の生活を良くしようとしていた。

昭和30年代から40年代に入ると高度経済成長の名のもとにオリンピック、万国博覧会、企業の世界進出など世界の強国の仲間入りをするまでになっていった。しかし日本人の暮らし方や人々の考え方はどうだったのであろうか。
 その頃の私はこんなことを考える経験も知識もなかったので自分の経験としてはわからないが、その当時の世相や若者たちの生き方、それを知る術の手段の一つとして映画がある。世相を表す映画を見ればその頃の景色だけではなく社会の形や人の考えがわかるのかもしれない。
と、そんなかたっ苦しい気もなかったんだけど、偶然に1970年制作の映画「若者の旗」を見る機会があった。昭和45年、東京オリンピックが終わり大阪万国博覧会が開かれた年、高度経済成長の真っただ中である。私は中学一年生まだまだ若者の部類には入らない世代ではあった。

その映画は今ではもう聞かなくなってしまったが私の子供の頃の若者の定番ソング「若者たち」を主題とした三部作の最後の物語であり若者たちがその後どうなっていったのかを物語にしたものだった。
最後の30分ぐらいを見ただけであったが、そこにその映画の主題を見たような気がした。そしてそれは今の時代にも当てはまるものであった。

人はパンのみに生きるのではなく人生の意義を見出して生きていくものであるというもっともらしい考え方と、しょせんこの世は金と地位次第、聞こえのいい理想ばかり追っていたって幸せになんかなれやしないという考え方について問いかけるものであった。

う~ん。65年生きてきて私が追い求めたいと思うのは前者だとは思うが、やはり後者のほうが幸せな人生なのだろうか。

この映画ではそれについて若者たちに問いかけるというものであったが、そのころの暮らしはまだまだ貧乏な人たちが多かったので後者を求める人が多かったのは仕方のなっことであると思うが、そのころに比べれば今の世の中はとても裕福になり便利になり多くのものを得られたので前者の生き方を求めるものが多くいてもおかしくないとは思うが決してそうではないと思う。

 貧しくても生き甲斐があればそれで幸せなんだという理想はあるが人々はそれを追い求めているわけではない。

結局のところ昔も今も変わってないのかもしれない。

この映画が公開された年から数えて50年、科学は進歩、発達し、暮らしも便利になったとは言え、人々の考え方はずっと変わらないのかもしれない。

しかし若者に問いかけることをしているということについてはずいぶん昔のほうがよかったんだなと思う。現代ではそんなのださ〜いと一笑されてしまあことであろう。

しかしこんな世の中にもそうじゃないんだという人たちが必ずいると思うしそんな人間であり続けたい。

 

君のゆく道は果てしなく遠い

だのに何故歯を食いしばり

君は行くのかそんなにしてまで。

そして若者はまた歩き始める。