もう本当に長い間、「もやし」は物価の優等生とされてきました。

 ただこれは自ら進んで優等生になったわけでなく、お客様(特に量販店バイヤー)の希望に沿うように、ていうか言うことを聞かないと今後の取引ができない、と脅されて、値引きに応じ続けて、その結果生まれた「物価の優等生」であり、見方を変えれば「物価のいじめられっこ」のようです。

 結果として現在のスーパーでの小売価格、「もやし1袋17円(税別)」というとんでもない価格が“通常”となってしまいました。卸値は15円以下であることは間違いありません。
20年前の小売価格は1袋48円くらいでしたのに。この「通常低価格」のため、毎年各地のもやし屋さんがバタバタと廃業、倒産をしています。

 残っている大手もやし会社でも、すでにこのもやしの低価格では、どれだけ量を出しても

「もやしだけでは採算が合わない」

状態となっており、「カット野菜」といった別事業に力を入れてようやく「もやし生産業」を続けているのが現状です。
このような状況は、別に値下げを要求するジャイアンのような取引先だけの責任ではなく、

「もやし生産者が自分で自分の首を絞めた」

結果であると私は思います…。

 そんな苦しい立場にある、もやし屋だからこそ私は基本「値引きで集める」やり方には反対なのです。適正な価格で安いのならとても良いことです。しかし「普段よりも安くすること」で、お客を呼ぶのはいかがなものでしょうか。

 ここで紹介するのは名古屋のお弁当屋さんのブログです。この方とはかつて名古屋の公園で男二人、一緒に弁当を食べたこともあります(笑)。そして私は、このお弁当屋さんの考えに全面賛成しています。

お弁当屋さんは言ってます。

「モノやサービスを安く買い叩くクセがつくと、いずれ自分自身も安く買い叩かれます」

まったくそのとおりであり、付け加えるのなら

「モノやサービスを安売りするクセがつくと、いずれ自分自身も安売りせざるを得なくなる」

となります。これは、今のもやし業界を見れば明らかです。

 特に中小の事業者は、なるべくもやし屋と同じ轍を踏んでもらいたくない、というのが本心です。