議案第73号 二宮町議会議員及び二宮町長の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例審査について説明します。

 

これまで、町村の選挙において選挙運動用の自動車・ポスター等にかかる費用は全額候補者が自己負担していましたが、公費で賄われるようになる一方で町村議会選挙において供託金が導入されるというものです。

 

こちらが、総務省ホームページに掲載されている表です。

 

 

また、次期選挙で立候補を考えている方は以下のリンク先からアクセスして詳細ご確認ください。 

総務省|町村の選挙における公営拡大と供託金導入について

 

本議案は総務建設経済常任委員会に審査を付託され、賛成2、反対4の賛成少数で否決されました。賛成したのは私と共産党の渡邉議員の二人で、討論は賛成反対それぞれ1名ずつで以下のとおりです。なお、討論ではそれぞれの立場で費用明細公表に言及していますが、現時点で費用明細の公表は義務化されていません。

 

○「賛成の立場で討論する。選挙費用の軽減は、立候補者の後押しに期待があるが、供託金は問題と考える。ビラ1,600枚(上記HPの「概要」参照)は、二宮町の有権者の2割に満たず、費用、単価等は見直しを求めたい。費用明細の公表は、個々の経費に対する考え方が反映されるものだと思う。(渡邊訓任議員)」

 

○「反対の立場で討論する。全国町村議会議長会からも長年要望した事項であり、歓迎したいところだが、明細公表を条件としたく、反対する。(野地洋正議員)」

 

ところが、本会議では賛成多数で可決するという稀な展開を見せました。審査を付託された総務建設経済常任委員会では委員長を除く6名の委員により投票が行われ、本会議では議長を除く全議員13名により表決が行われますが、結果、本会議では賛成票が反対票を多く上回りました。

 

私は、委員会審査でも本会議でも一貫して賛成しています。本会議での私の討論は以下の通りです。

 

委員会での質疑の際に指摘された課題、問題(選挙費用の公表が現時点で義務化されていない、ビラの枚数が少ない等の指摘がありました)は、全くそのとおりだと思います。

 これらは必要に応じ改定する、もしくは、公表すべきものは公表していくと、今後の対応すべきことだと思います。いずれにいたしましても、この条例は、現在、経済的な理由で出馬を断念せざるを得ない人に対して、道を開くものです。そのような条例をいち早く制定して、多くの人に自分も議員になってみようというように思ってもらうこと、それがまず大事だと思い、賛成とさせていただきます。

 

この議案の理解を深めるため、背景について説明します。

まず、令和2年6月12日に公職選挙法の一部を改正する法律が公布され、同年12月12日に施行されています。このように上位法の改正に伴う条例制定は通常は制定しないという選択肢はないと思われますが、本議案に関しては条例制定をしない選択肢もあると説明されました。この場合将来、周辺自治体とは異なるやり方で選挙が行われる可能性があります。

また、前述の公職選挙法改正に先立ち、全国町村議会議長会は「議会の機能強化及び多様な人材を確保するための環境整備に関する重点要望」と題する文書を作成し、国に要望。これを受けて公職選挙法が改正された経緯がありました。

 

本議案が可決されたことで、今後経済的に豊かとは言えない町民も立候補することが出来るでしょう。私自身初当選した2年前の選挙では経済的負担を最小限に留めるための工夫や努力をしました。この条例制定により、選挙運動用自動車に関しては一日当たり上限64,500円に選挙運動用ビラ、選挙運動用ポスターが公費負担となり候補者一人当たり上限約70万円支払われることになります。そうなると出費を抑える努力を怠る候補者が出てくるかもしれません。反対討論ではそのことを問題視する声も聞かれました。ただ、運用上のルールは必要に応じ改定することが可能です。

 

前述の私の賛成討論の通り、まずは多くの町民に立候補の機会が与えられることが重要と考え、本議案の可決を歓迎したいと思います。

 

(選挙にはお金がかかります)