(前回の続きです)

 
 
うつ病で休業、解雇と言われた、または言われそうな従業員。
 
一方現状の打開を図りたい企業側。
 
お互いがどうしても納得できなければ裁判にまで発展するケースもあります。
 
本音は誰も裁判沙汰にはなりたく無いと思います。
でも、その時はお互いに主張を繰り返す、感情的になっている、話がまとまらない・・・、
 
「訴えてやる!」ムキー!!
「やればいいだろ!」プンプンムカムカ
 
と、こんな感じに進んでいってしまいます目汗
 
普通に考えれば、このようなケースで裁判をしてお互いにメリットがあるかと言えば・・・、
あまり無いですね。
 
右差し企業側は他の従業員に与える影響が大きい点、
多大な労力と時間を費やす割には実益がない点。
弁護士に依頼すれば時間と労力はかかりませんが、どうしても費用が発生してしまいます。
ただし、企業としての経験は得ることができますが・・・。(その経験を得るよりも問題を発生させない方法を考案したほうが有効だと思います)
 
右差し従業員側は裁判となった場合の費用の捻出や精神的な影響も大きいです。
ただでさえ休業中ですから、経済的にも体調もさらに悪化してしまう可能性が高く日常生活に大きな支障をきたします。
それに、裁判で争った後、もし勝訴して企業に残ることができたとしても、その後長い期間勤めることができた人をあまり聞かないです。
それを踏まえて、どうしても裁判をしなければいけないという事でしたら無理に引き留めることは出来ませんが、裁判をした後の事も十分に考える必要があります。
 
これらの事から、お互いにメリットがほとんど無いと思います。
 
 
 
もしお互いの主張が合わず、打開策が見つけられない展開になった場合、
 
まず 『双方の立場を考慮して、じっくりと話し合いをする』 機会を設定しようとしますが、
うつ病患者さんによっては話し合いの席に着くこと自体拒否するケースも多いです。
 
実際、うつ病患者さんから相談を受けることもありますが、
片方の意見だけを聞くだけでは打開策が見つけられないので、
ご本人の了解を得てから企業側にも話を聞きに行きます。
その時によくお話に出てくるのが 
『 話し合いにも応じてくれない 』 
『 電話も出ないので連絡が取れなくて困っている 』
というケース。
確かにこれでは妥協点もなにも見つけられないな、と思いつつ
企業側の提案を聞いてみると、十分に努力をされている場合もあります。
そこはしっかりとご本人にも理解して頂かなければいけませんので、
第3者で中立な立場としてご説明します。
ほとんどこの時点でお互いの妥協点を見つけて、
またはこれ以上争う事が無益だと判断して裁判にまで至らない場合が多いです。
 
 
従業員側からの依頼を受けた弁護士なり社労士が動いた方が、双方ともよく意見を聞いてくださるケースが多いように思われます。
どうしても企業側依頼の場合は、従業員側が構えてしまうのは無理の無いことだと思いますが。
 
 
 
上記の場合は、従業員側からの依頼を受けて動く弁護士や社労士がいればの話ですが、そのようなケースでは無い場合。
キラキラバランス感覚を備えた総務人事関係の人キラキラ がいればとる行動は・・・、
 
『時間をかける』
 
決して対応を後回しにして時間稼ぎをしているという意味ではなく、丁寧に対応するという意味です。
 
怒りや恨みは時間が経てば少なからず減っていくものです。
また、時間は人間の善意を引き出す、元に戻すなどの効果があると言われています。
感情的になっているときに、あわてて結論を出しても、さらに争いの火種となりかねません。
これは、企業の、総務人事のセンスがものを言います。
 
時間をかけて、企業側はうつ病の従業員の立場になって 『解雇回避措置』 を親身に検討してみます。その対策を十分に検討したがどうしても無理な場合の最後の最後の手段として解雇となります。
そのような場合でも、可能な限り退職後のことも配慮してあげることができれば企業として評価される点だと思います。他の従業員の動揺も少なくて済むでしょう。
 
もちろん早く現状を打開したい企業のトップには、意図を十分に説明して理解を得る必要があります。何も争いがないことが解決の一番の早道です。
企業が判断を下した、うつ病休業中の従業員にする対応の仕方で、その企業の本質が大体わかるような気がします。
 
 
時間をかけると従業員側にとっても、今後の身の振り方を考える余裕ができます。たとえうつ病で体調が悪かったとしても、身体や気分の調子が比較的マシな日に考えることができることでしょう。
勤務できないという事は、少なからず企業に迷惑をかけていることになりますので、その事実を認識して企業側に今後の症状の見通しをしっかりと伝える必要があります。
早期復帰の努力をする、話し合いには応じる、自分のできる仕事の範囲を明確にする・・・。
話し合いもせずに自分の希望だけを一方的に望むのはフェアでは無いということです。
 
 
 
 
 
まつざき社会保険労務士
障害年金手続・専門
 
TEL・FAX 
079-440-5606
 
mail         
matsuzaki-syogainenkin@outlook.com
 
ホームページ 
 
 
『経済的負担を軽減することによって
症状の回復につなげたい・・・』
 
障害年金の手続を通じて一人でも多くの方の
ご苦労をやわらげていただく為に、
お役に立ちたいと思います。
 
 
 
 
私も時々企業へ訪問する機会があります。
その時に職業がら労働条件と福利厚生に関することを質問していますが、
常に感じる事、
” 立派な企業 ” とは、売り上げが大きい、従業員が多い、外観、知名度などで決める事では決してなく、非生産部門の総務がしっかりとしているかどうかが重要な判断基準であると。
企業活動に必須の ヒト・モノ・カネ。
どうしても直接売り上げに関わりのない総務の部門は後回しにされるか、評価が低く設定されるか、どちらかにされてしまいがちですが、だからこそこの部門が充実していれば余裕を感じますね晴れ
ヒト・モノ・カネが備わっていると感じられ、この先も安定しているだろうなという安心感を・・・。
 
 
企業側の人事担当者には、解雇の結論を焦らず、十分に検討して頂き、
気持ちにも余裕のある企業というものを感じたいものです チョキ
 
休業中の従業員も、企業負担が生じているのに在籍させてくれていることに感謝の気持ちを持つことは忘れてはいけませんね 目
 
お互いがこのようであれば、そんなに裁判になることは無いと思っていますバイバイ