その15

比島戦(南方移動)[2]航行②

門司から1万トン級の12隻の船団を組んで南下、長崎県五島沖にさしかかるや、「やられた。」の声に甲板上に駆け上がったら、友船(兵5~6千名乗り込み)が米軍魚雷攻撃を受け、沈没寸前だった。まだ船首は見えたが、間もなく、すうっと、海に吸い込まれるように沈んだ。

 

そのときはじめて危険な航行だなあと、実感した。すぐ警戒の達示、攻撃を受けた時の対策、注意等あり、厳戒態勢に入った。

 

その日薄暮に入るや、友船は敵潜水艦の、魚雷攻撃を受け、次々と撃沈され夜の空を真っ赤に焦がした。私たちの船もいつ襲撃されるかわからない。息づまるような航行が続いた。敵潜水艦に対する友船の、魚雷の応戦も勇敢に、繰り返され、その度に夜をつんざく轟音が船もろともゆるがした。私たちはいざという時を覚悟し、5人1組になり、飛び込みの手順その他準備し、身を寄せ合った。折からの夜の寒さもあって、戦友の震えが、はっきり伝わった。

 

それから台湾を経て、比島サンフェルナンド港に着いた。たった2隻だった。3隻着いたともいわれるが、私は2隻しか見ていない。途中、数隻は魚雷で撃沈され、又火災を起こしたが、あとはどうなったのだろう。

 

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