【ネタバレを含みます】

ジョジョの奇妙な冒険 第5部の56巻。


56巻で描かれているのは、ブチャラティがボスを裏切り、自分の信じる道を選ぶ場面です。


ブチャラティは仲間たちに言います。

「ついて来るかどうかは、自分で決めろ」

仲間を無理やり連れて行くことはしない。


危険な道になることも、命を失う可能性があることも分かっている。

だからこそ、自分自身の意志で選ばせる。


アバッキオとミスタは、覚悟を決めてブチャラティについて行くことを選びます。


一方で、フーゴは残ることを選びます。

それもまた、自分の限界と恐怖に向き合った上での選択でした。


そしてナランチャ。

ナランチャは、決めきれませんでした。


怖かったから。

ボスを裏切れば、もう後戻りはできない。


死ぬかもしれない。


だからナランチャはブチャラティに言います。

「ついて来いって命令してくれ」

自分では決められない。


でも、ブチャラティの命令なら勇気が出る。


そう思ったんです。


しかし、ブチャラティはナランチャに「来るな」と伝えます。


お前には向いていない、と。


そしてブチャラティたちは、ナランチャを残して進んでいきます。


その時、ナランチャはトリッシュの腕の傷に気づきます。


トリッシュは、信じていた父親に裏切られました。


その姿を見たナランチャは思います。


「オレと一緒だ」


ナランチャ自身も、父親や友人に裏切られた過去を持っていました。


トリッシュの傷は、他人の傷ではなかった。


自分の傷でもあった。


その瞬間、ナランチャは決意します。

離れていくボートに向かって泳ぎながら叫ぶ。


「ブチャラティィィィィ!!」

「行くよッ!!」

「オレも行くッ!!」

「行くんだよォーーッ!!」

「オレに『来るな』と命令しないでくれーーッ!」

「トリッシュはオレなんだッ!」

「トリッシュの腕のキズはオレのキズだ!!」


この場面で涙が止まりませんでした。


昔からなぜかこのシーンが好きでした。

でも理由は分からなかったです。


時間が経って、自分が「過去の自分を救いたい」と思っていることに気づいた時、初めてナランチャの気持ちが分かりました。


ナランチャがトリッシュを見て「これは自分の傷だ」と感じたように、自分も過去の自分を重ねていたのです。


そして、ブチャラティのすごさもここにあると思いました。


ブチャラティは、ナランチャに答えを与えませんでした。


「俺について来い」と命令することもできたはずです。


でも、そうしなかった。


ナランチャ自身が、自分の意志で選ぶことを待った。


これは、キャリア相談にも通じるものがあると感じました。


誰かの人生を、こちらが決めることはできません。


「こうした方がいい」と答えを押しつけるのではなく、その人自身が自分の気持ちに気づき、自分の足で進めるように支える。


それが大切なのだと思います。


ナランチャは、ブチャラティに連れて行ってもらったのではありません。

最後は、自分自身の意志で仲間のもとへ向かった。


だからこそ、56巻のナランチャの姿は、こんなにも胸に響いたのだと思います。


怖くてもいい。

迷ってもいい。

それでも、自分で選んだ一歩には大きな意味がある。

そんなことを教えてくれる、忘れられない一冊でした。


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