親友 | 伊藤和磨オフィシャルブログ Powered by Ameba

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【久々の再会】
 先日、都内の大学病院に勤務する幼馴染みと食事した。
 同じ歳ながら、次期教授候補の筆頭に挙げられている頑張り者。
 高校時代に、サッカーの試合で対戦したのが最初の出会いだったことを、27歳のときに彼から知らされた。

 彼は呼吸器の専門医で、コロナの感染者たちと日々対面している。
 昨年より、特殊な肺癌の研究に心血を注いでいたのだが、皮肉なことに彼の御父様がその癌になってしまい、今春永眠された。
 日本政府と米国政府を繋ぐパイプ役を果たし、やる事なすことの全てが規格外だった。

【コロナの症状】
 献杯した後、日本人の死者が少ない理由やコロナの特徴について、色々と尋ねた。

 実は私の知人で、コロナに感染した者が3人いる。1人は銀座のクラブ、2人は同じパーティーに参加し、そこでクラスターが発生した。
 1人は自宅に1ヶ月間隔離、1人は40度の熱が10日ちかく続き1ヶ月入院、残る1人はICUの手前まで悪化した。

 それぞれからコロナの体験談を聞いたら、全員が死ぬほど辛かったと言う。
 立ち上がると、人を背負っているかのように怠く、息切れしたそうだと。
 とにかく、二度と感染したくないと言っている。

 「コロナなんて、ただの風邪だ」と軽視する人もいる。
 しかし、それは発症者が身近にいないからであって、自分が経験したら絶対に言えないだろう。
 基礎疾患があるか高齢でなければ、発症しても簡単には重症化しないのだろうが、軽症でもひどい目に遭う覚悟がいるようだ。

 呼吸の専門医である彼も、コロナウィルスは今まで見たことがない症状が発生すると言う。
 一番怖いのは、血栓ができて心臓や脳にとんでしまい、突然死するリスクがあること。
 実際、現場では血管内科の先生が活躍しているという。
 インフルエンザは急に肺炎を起こさないが、コロナはいきなり気管支炎や肺炎を起こす。
 
【死者数が少ない理由】
 死者数が少なく理由については、複数の要因が考えられるが、日本の医療機関に設置されているCTスキャンの台数の多さを挙げていた。
 日本にあるCTスキャンの台数は、欧州全体のCTスキャンの台数と等しいそうだ。

 欧米諸国とは違い、健康保険の制度が充実している日本では、誰もが保険をつかってCT検査を受けることができるため、小さな肺炎でも見つけて治療することができる。
 だから、仮に発症しても死に至らず、欧米と死者数を比較しても、圧倒的に少なく抑えられているのだ。
 ちなみに、NYの死者数の多くは黒人やヒスパニック系、貧しい白人であり、彼らはお金がなくて病院で受診することが叶わない。

 もう一つ、日本の医療従事者は、患者が経済的に裕福でも貧しくても、善人でも悪人でも分け隔てなく、すべての命を救おうとする考え方が定着している。
 その精神が今日の結果に繋がっているのだと思う。

 日本国民の公衆衛生に対する意識の高さは、他に類を見ない。これが最大の要因であることは疑いの余地なし。
 
 メディアは、毎日感染者数ばかり強調しているが、命懸けで患者の治療にあたっている医療従事者への感謝と敬意を伝えるために、完治して退院した人数についても、等しくスポットを当てるべきだと思う。


 この友人はポスト=地位を棄て、研究の為に数年間渡米するという。
 彼のような気骨のある専門家と語り合う時間は、なにより贅沢で心の栄養になる。