食事 | 伊藤和磨オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 貴景勝関をサポートして下さっている皆様、この度は誠におめでとうございます。

 千秋楽まで縺れるとは。
 それにしても、なぜ千秋楽の一番が、そこまで影響するのだろう?15日間のトータルを総評すべきなのでは。

 逸ノ城戦の後、2人で難波のレストランに行った。重い空気が充満していた。

 気落ちしたアスリートの心を整えて、闘える精神状態に引き上げることも、コーチやトレーナーにとって大事な仕事。
 勝った日は何が良かったのか分析し、その感覚を維持できるように言語化して、アタマに刻み込む。
 負けた日は、間違い探しは最小限にとどめて、ネガティブな要素を全て排除し、自分の力を信じ抜けるように鼓舞する。
 
 難しくても感情的にならずに、明日の取り組みに対しての準備をするように促した。
 感情脳=大脳辺縁系で考えたら、分析脳=大脳皮質のネットワークが働かなくなってしまう。感情でとらえても、そこから何も生まれない。

 食事が終わる頃には、味覚が戻ってきたようで、気持ちが切り替わっていた。
 あの日の食事は、生涯忘れないだろう。

 食事は、ただお腹を満たす行為ではなく、五感で楽しみながら、脳神経のネットワークを活性化させる行為でもある。
 これまで担当してきたアスリートがピンチに陥ったとき、美味しいものをつまみながら語り合い、心を整えてきた。これからも、このやり方で通していく。

 重要なのは、話をする環境とタイミング。
落ち着いた環境で対話すると、捉え方と記憶の仕方が変わる。自然の中でするのが理想だが、なかなかそうもいかない。
 込み入った話をするときは、それに適したレストランを吟味する。この選択はとても大切で、しくじれない。 

 面がわれている人物を連れていく場合、美味しくて目立たず、店員がむやみに話しかけてこない近場のレストランを探さなければいけない。
 知らない土地で、4つの条件を満たしているお店を見つけるのは容易ではない。
  多少骨を折ったとしても、アスリートやアーティストが、もりもり食べて元気になってくれるのは嬉しい。

 今場所は9泊し、治療の時間は34h。
夜着いて日が昇る前に起床し、始発で帰る日が4日あったが、本人が踏ん張ってくれたお陰で、特別な瞬間を味わうことができた。

彼は本当にしんどかったはず。

兎にも角にも、めでたし、めでたし。