痛みとうつ | 伊藤和磨オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 今週9月10〜16日は、厚労省が定めた自殺予防週間。

 昨日は、日本財団ビルで社団法人リヴオンの尾角代表にゲスト講師として御招き頂いた。



テーマは、「死にたいの奥にある声をきく」

 自分は「うつに呼吸と姿勢から取り組む」ことの可能性と効果について、体験談をもとにお話した。


 これまで60企業で、メンタルヘルスに対するフィジカルケアの重要性を説いてきた。

 心と体の問題を分けて捉えている心療内科医と産業療法士、一般の人が大変多いのだが、その考え方とアプローチでは根本解決には至らない。

 心を納めている器が体であり、一体になったものが「身」なのだから。



18年間で延べ4.2万人の患者を診てきたが、たかが腰痛、たかが頚の痛みであっても、慢性化すると心が疲弊して折れてしまうだけでなく、自尊心が保てなくなる。

 痛みのトラウマが本来の姿勢と生活動作フォームを破綻させ、非効率な体の使い方が脳にインストールされてしまう。

 これが腰痛を再発させる負のループを形成し、痛くて休職→復職→休職→離職のパターンを繰り返すことになる。

 「私だって痛いけど頑張っているのに」などと周囲の人たちに言われるようになり、職場でも家庭でも孤立していく。


 腰痛で死にたいと考えている人と、どれだけ会ってきたことか。それでも、体を痛める姿勢や動作の癖、貧しい呼吸を改善する方法を会得して、自力で痛みを予防してコントロールできるようになると、誰もが元の輝きを取り戻す。



 これは腰に限ったことではなく、全身の不調に当てはまること。

 例えば、新型うつと呼ばれる首や肩の凝りに起因したうつ的症状は、椅子の背もたれの縁を活用して、後頭部と頚の間にある後頭下筋群をほぐすだけで大幅に改善できる。

 こんな些細なセルフケアだけで、感情と自己を定位する感覚が蘇り、フラつきやめまい、浮遊感、目の奥の痛みが改善できるのだ。



 心が病んでいるからうつになるのではなく、体が疲れきって許容量が小さくなっているから、うつになってしまうのではないか。自分はそう考えている。  

 心を元気にさせるためには、器である身を元気にさせることから始めるのが道理だろう。


昨日は参加者の方々に、地に足をつけること、呼吸のデトックス効果を体験してもらった。


講演の動画


 10本の指で救える人数は限られているので、今後も執筆や講演を通じて、出来るだけ多くの人に、自分の体を労わることが、心と魂の癒しになることを伝えていきたい。