対照的な | 伊藤和磨オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 先日、PT向けのセミナーとトレーナー向けのセミナーを連日受講した。

 PTのセミナーに参加して毎回思うのは、PTのセミナーで会う人たちは、概して大人しく従順な人たちが大半を占めているということ。
 
 男女共に線が細く、あまりエネルギー値が高くない。理学療法士という肩書きは使えなくなるが、開業して本当に自分のやりたい事をやってみたら?と促して、好意的な反応を示す人は少ない。
 良く言えば、PTの人たちの情熱は、青い炎といったところか。

  一方、トレーナーはPTに比べて自信家が多く、独立開業志向も強い。稼ぎたい人が多く、あまり深く考えずにチャレンジする。
 セミナーではタンクトップ率が高くて、事あるごとに服を脱ぐ。 
 彼らは赤い炎のタイプだろう。

まさに、草食系と肉食系。
非常に対照的だ。

 PTのセミナーは、理論が中心で実技はわずか。先日も、細かい文字と数字がびっしり詰まったスライドを延々見せられた。
 
 大抵は、隣に座った人と触診し合うのだが、自信をもって体に触れている人が少ないのが気になる。日頃、患者の体にジックリと触れる機会が少ないのかも知れない。

 講師に質問しても「~かも知れません」「一概には言えません」といった曖昧な答えばかりが返ってくることが多い。

  PTのセミナーは、勉強オタクの自分には楽しめるのだが、明日から実践できるようなお土産を持ち帰れる機会は滅多にない。

 トレーナーのセミナーは、その日から実践できるような事を次々と教えてくれるのだが、ベースとなる理論や根拠が乏しい場合が多い。(今日のセミナーは、きちんとした裏付けと体系化されたプログラムがあって面白かった)

 ほとんどのセミナーは、「難しい話しはおいといて、とにかく体を動かして覚えましょ」という感じ。
 ただ、質問すると何でも断定的に答えてくるのは爽快だ。
 理論よりも、直ぐにハードなエクササイズに移行し、参加者の肉体を追い込みたがる。

 もっと医学的な根拠を厚くして、運動器の疼痛や機能障害に対応できるようにしていく必要があると思う。
 
 基礎医学の知識が不足していることが、医療従事者からトレーナーが軽視される所以の一つになっているわけで、ここを深掘りしていくことが重要だろう。

 ダイエットやボディメイクもいいが、それだけならジムのインストラクターで代用がきくからだ。

 両者を飛行機に例えると、PTは点検ばかりして飛び立たない飛行機。点検の為の点検を繰り返す。
 トレーナーは機材の点検をせずに飛び立ってしまう飛行機。多少ネジが外れていようとお構いなしに離陸させる。空中で燃料切れを起こすことも。

 どちらを批判しているわけではない。ただ、両者の中間はないのだろうかと思う。そうじゃないと、それぞれの良さを活かせないからだ。

トレーナーは、もっとPTの勉強会に参加して障害に対する基礎知識と対応を学ぶべきだし、PTはトレーナーや治療家の勉強会に参加して、臨床で役立ちそうな事を持ち帰れば良いのではないだろうか。

 既にやっている専門家もいるだろうが、PTとトレーナーの間には、依然として大きな隔たりがある気がする。

 欧米では、PTの社会的地位は日本のそれよりずっと確立されているし、それに見合うだけの専門的知識と技術も備えている。

 個人的には、日本のPTの人たちがもっと欲をもち、院外で活動することに興味関心を持ってほしいと思う。