さて今年のJリーグでは、東京ヴェルディ対横浜F・マリノスのJ1開幕戦を皮切りに年間で13試合が国立競技場で開催されており、これらは「THE国立DAY」という名称が別途付けられています。この13試合の中で唯一のJ2の試合となったのが、今回紹介する清水エスパルス対横浜FC戦です。

 清水は2022年から毎年夏に国立競技場でホームゲームを1試合開催していますが、その試合の対戦相手は首都圏のチームになることが通例です。一昨年は横浜F・マリノス、昨年はジェフユナイテッド千葉と対戦しており、今年は横浜FCが対戦相手として選ばれました。清水と横浜FCはJ1昇格、そしてJ2優勝をかけて熾烈な争いを繰り広げており、この両チームの対戦が国立競技場で開催されることから注目度が非常に高まっていました。

 

 新宿駅の南口には、試合の宣伝広告が貼られていました。今回、清水は「ようこそ、国立(ここ)は静岡。」と題して試合への機運を高めてきました。

 この広告の前にも、試合当日は清水サポーターが何人も集まっていました。

 

 国立競技場に移動します。清水サポーターで早くもごった返していました。

 

 スタジアムの柱にも、今回の試合を知らせる表示がありました。

 

 Eゲート近くの階段前には、このようなフォトスポットがありました。

 ホームタウンの名物に扮したクラブマスコット「パルちゃん」のパネルです。

 

 そして国立競技場の看板前にも、このようなフォトスポットが設置されていました。

 J1昇格への機運が大いに高まった一戦です。

 

 今日は2階のメインスタンドに近い席で観戦します。周囲には多くの清水サポーターが座っていました。

 

 GKウォーミングアップ中の、清水のゴール裏です。多くのサポーターで埋め尽くされています。

 

 清水エスパルスは静岡新聞と静岡放送(SBS)がスポンサーに名を連ねていますが、ウォーミングアップ中や試合中には「そのゴールが明日のニュース。」や「ゴールを決めろ!弊社カメラマンも待機中。」というキャッチコピーがゴール裏のLED看板に表示されました。試合報道への本気度がうかがえます。

 

 ウォーミングアップ中にこの試合の審判団が発表されました。西村雄一主審は10年ほど前まで国際審判員としても活動しており、ブラジルW杯の開幕戦でも主審を務めました。もちろん日本でも決勝戦など重要な試合を数々担当しています。最近はJ1経験のある審判員がJ2の試合を担当することが増えているように感じますが、国立開催、それもJ2優勝・J1昇格の行方を大いに占う一戦であることから、西村主審が選ばれたと思われます。

 

 試合前には、場内が暗転する中ドローンによるパフォーマンスがありました。

 

 スタンドの清水サポーターはオレンジのペンライトで、横浜FCサポーターも青のペンライトで場内を照らします。

 

 まず、イルカの尾びれらしきものが出現。

 

 見切れていますが、この試合のキャッチコピーでもある「ここは、静岡!」が表示されると横浜FCのサポーターからブーイングが起こりました。

 

 富士山や、

 

 花火も登場しました。

 

 クラブのエンブレムも出現。

 

 そして「THIS IS S-PULSE」で締めくくられました。

 

 場内の暗転が続く中、今度はチアガールによるパフォーマンスが行われました。

 

 この時はパルちゃんの顔が虹色に光る演出もありました。

 

 スタメン発表です。上位対決ということもあり、お互いのチームに対してブーイングがありました。

 横浜FCのスタメン発表では、伊藤翔選手(2010~2013年に清水に所属)に対し清水サポーターから拍手もブーイングも起こりました。

 

 清水エスパルスのスタメンの一部です。日本代表経験のある権田修一選手や乾貴士選手が名を連ねています。指揮を執る秋葉忠宏監督は、2009年・2010年に相模原(当時は神奈川県リーグ在籍)で選手兼監督を務め、2013年・2014年は群馬の指揮を執りました。退任後はアンダー世代の日本代表チームのコーチを務め、2020年から2022年まで水戸の監督を務めました。2023年からは清水のコーチを務めていましたが、ゼ・リカルド前監督が契約を解除された同年4月からは監督として指揮を執っています。

 その秋葉監督は熱血漢として有名であり、昨年は町田に逆転勝利した試合の後のインタビューで「This is football!」の名言を残しています。またこの名言から、清水のスポンサー「京昌園」では、秋葉監督が出演するCMには「This is YAKINIKU!」のフレーズが使われています。

 

 

 選手入場。両チームとも1stユニフォーム着用、審判団は黒の審判服を着用の上で試合に臨みます。

 

 前半キックオフ。

 

 序盤から、一進一退の攻防が繰り広げられます。

 

 

 さてバックスタンド側の広告看板は、J2だと明治安田以外のJリーグのパートナー企業の看板が1枚にまとめられるという特徴があります(明治安田はJ1と同じく中央に2枚、コーナー近くに1枚ずつ。コーナー部分には別途正方形の看板も設置。J3も同様)。その代わりに、ホームチームのスポンサーの看板がバックスタンド側に設置されています。またJ2・J3は、注目カードであってもJリーグのLED看板が設置されることはありません。

 

(参考:J1の看板設置状況)

 

 前半は0対0で終えました。

 前半終了の笛が鳴ると同時に、清水のゴール裏からはブーイングが聞こえました。

 

 ハーフタイム中には静岡県のマスコットキャラクターたちや、スーパー戦隊『爆上戦隊ブンブンジャー』の登場人物たちが場内を一周しました。

 

 そして試合開始前と同じく、場内が暗転する中でチアガールによるパフォーマンスが行われました。

 

 ハーフタイムショーが終了すると他会場の結果が表示されましたが、19時キックオフの大分対藤枝戦は後に大分が2対0で勝利したため、この結果群馬のJ3降格が決定しました。

 

 続いて、静岡駅への最終の新幹線の案内が出されました。日帰りで国立競技場に来ているサポーターも少なくないためか、このような案内が出されています。

 

 後半キックオフ。

 

 後半11分、横浜FCのジョアン・パウロ選手に先制点を奪われます。

 

 この試合には55,598人が来場しました。清水は昨年も、千葉との国立開催でのホームゲームで47,628人が来場しており、2年連続でのJ2歴代最多入場者数更新となりました。今年に関しては1位と2位の直接対決だったこともあり、スタンドは超満員でした(電光掲示板には、実はこの2枚の間に「満員御礼」の表示も出されていた)。

 

 後半24分、清水の宮本航汰選手が同点ゴールを決めます。

 

 同点となった両チームは、勝ち越し点を狙うべく最後まで駆け引きを繰り広げました。

 

 しかし追加点はどちらにも入らず、この直接対決は1対1の引き分けに終わりました。

 

 

 試合終了後は選手が場内を一周、続いてパルちゃんとその家族が登場しました。

 

 今回は国立競技場でJ2の首位直接対決を観ましたが、想像以上にハイレベルな勝負を繰り広げていたように感じます。それと同時に、近年はJ2のレベルが上がっており、J1勢にとっては降格すれば1年で復帰するのが難しくなりつつあります。10年ほど前ならJ1常連チームの1年でのJ1復帰は当たり前のことでしたが、最近は清水然り複数年かかってJ1に復帰するチームも珍しくありません(最長ブランクだと東京Vが今季は16年ぶりにJ1に復帰)。J1への昇格争いの行方を左右する大一番でしたから、改めてファン・サポーター含め両チームからこの試合への並々ならぬ本気度が伝わってきました。

 

 次回のJリーグ観戦は10月19日(土)レモンガススタジアム平塚での湘南ベルマーレ対サンフレッチェ広島戦です。その後は11月から12月にかけて、ルヴァンカップ決勝とJ1第36・37・38節も観戦する予定で、残り試合数は少ないですがまだ6試合観戦する予定です。この先は昇格争いや優勝争い、そして残留争いが佳境に入ります。最後の最後まで目が離せません。

以上