本日夜にあった芸劇ウインドオーケストラ(東京芸術劇場が主催している吹奏楽のアカデミーです!)のゼミから、シェアしたいことがたくさんあったのでブログにおこしてみます。

…という自分のための備忘録でもあり。(笑)



来年2月25日に行われる第3回定期演奏会で演奏する、バレエ組曲「ダフニスとクロエ 第二組曲」から「夜明け」を題材に、この曲を演奏する前に(音楽初心者に向けて)話をするとしたら何を伝えるか?というディスカッションを、グループごとに行いました。

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小学校や中学校の音楽鑑賞教室や、老人ホームの訪問演奏など、私たち音楽家が演奏する以外にも話をする場面は意外とたくさんあります。
ライブの曲間のトークなどもそうですよね。

でも、何を伝えるかを練ってブラッシュアップする機会ってなかなかないんです。

今日はそのトレーニング!




私たちのグループは、

・曲の情景

に焦点を当てて話すことに。

話をする対象が音楽に詳しくない人ということなので「この楽器が演奏しているこのモチーフがこういうことを表現していて…」などを話すことはせず(私たちにとっては当たり前に理解出来ることでも、実は楽器の音を聞き分けることが難しかったり、モチーフって何?となります。)その場面をイメージする助けになる言葉を話してみようということに。


「曲の冒頭では、岩に流れる水の音が微かに聞こえてきます。鳥のさえずりが聞こえてきて…」などと、作曲者ラヴェルが作った「夜明け」をイメージ出来るような話をしてみます。


ダフニスを表すメロディ・クロエを表すメロディ

がそれぞれあるので、実際にワンフレーズずつ演奏し、鑑賞しながらそのメロディを探してもらうことで、曲の中に入り込むように促すのはどうか、という結論になりました。


他のグループからは

・作曲者ラヴェルについて
・「ダフニスとクロエ」の物語について
・演奏する編成について

などなど…たくさんのアイディアが出ました。

グループで話し合っている際、上に出たアイディアと同じ意見も出ましたが、そのようにたくさんある情報の中から「話す情報を選んだ」わけです。


例えば、演奏会で配られるプログラムにある曲目解説(プログラムノート)も

作曲者が何年に生まれて、この曲は何年に書かれました。当時、作曲者は何歳ごろで、結婚した翌年です。こんな時代背景でした。クラリネットの冒頭のモチーフは××を表しています。フルートは××です。

のように、情報を羅列したものだったら、どんな演奏会でも同じ曲目なら同じ内容を書いていればいいですよね。もはやウィキペディアからコピペです(笑)


どんなお客さんを対象にしているのか
自分が伝えたいことは何なのか
どういう風に伝えるのか

コンサートの準備は、演奏を磨くだけでなく、そのような細やかなプロデュースが必要だと改めて感じました。



本日のゼミを担当して下さった、地域創造プロデューサーの児玉真さんからは、

「どのように話をするのが正解、というのはないですが、相手にどう感じてもらいたいのかを促すきっかけづくりが大切で、全てを話しすぎるのもよくない」というお話もありました。

人の話なんて、大体みんな聞いてなくて、自分の体験したことしか覚えてない。体験したことは覚えてる。だから、全部は話さない。体験出来るように促す。入り口を少し、開けてあげる。」

…なるほどなぁとキラキラ


コンサートでの話に限らず、毎日ブログを書いたりSNSを活用したり、実はとある所で広報を担当している私にとって、とても興味深い内容でした。

ブログも、初めはとにかく書いてただけだったのが、最近はどんな風に書いたら伝わるのかを考えるようになりましたし。

…とこれ以上は長くなってしまうので、またの機会に。




そうそう、この「ダフニスとクロエ」というのは元々バレエのために書かれてオーケストラで演奏するのですが、現在は編曲されて吹奏楽でもよく演奏されます。
冒頭にも書いたように2月の芸劇ウインドの定期演奏会でも取り上げますし、今月末にあるブリッツフィルの定期演奏会のプログラムにもあります…!

しかもどちらも同じ、真島俊夫さん編曲版で演奏します。

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管弦楽の魔術師と言われたラヴェルの色彩感をそのままに伝えられるようがんばります。