今日も新しい朝が来た。
僕にとっては1日が終わる合図で、いつも何曜日か考えないとわからない、こんな生活がもう10年くらい続いてる。

キィーっと耳の奥で鳴り続く夜の音が僕は好きだ。
友達に言ったら「はっ?寝ろよ」って笑われたけど、僕はキィーっと耳の奥で鳴り続く夜の音が好きだ。
ひとりだけ「わかる、マジでわかる」って言った女の友達がいたんだけど、案の定、真っ直ぐは歩かずデザイナーの道へ転がって行った。
20代前半は「これが静寂の音だ」ってその音を追いかけるような音楽ばかりを作っていたのだが、30代を迎えて、そこに少し飽きてきた、いや、慣れてきたのか、それとも作り過ぎたのか、違う音楽に興味が湧いてきている最近の僕なのだが、変わらず夜の音は心地良いって言うかずっと昼夜が逆転してるからそんなことを思うのかもしれない。

ゆっくりと車の音が増え、もう少ししたら自転車の音、子供達の声が聞こえて、僕はなんとも言えない気分になる。
想像していたような大人になれたのだろうか、もしかしたらまだ子供のままなのではないだろうか、だとしたらちゃんと大人になれるのだろうか、ってか30歳はオジさんなのか、いろいろ、いろいろ。

小さい頃はプロ野球選手になりたかった。
もちろん、なれなかった。
することなくて音楽の世界に転がり込んで、自分の為に生きていたら、知らない人に「歌ってくれてありがとう」って言われた。
やり残したことは山程あるが、明日死んだとしてもあまり後悔はないと思う。
一瞬でも誰かの為になれこと、喜びはこの世に残して、ほんとラッキーな男だったなと思いながら、僕は死んで行くのだろう。

ほんとに明日死んだとしても、春先には新しいアルバムがリリースされるはず。
僕は君に残る、やはりラッキーな男だ。