『太郎が恋をする頃までには・・・』 | きょうの感動!&more blog

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太郎が恋をする頃までには…/栗原 美和子

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フジテレビのプロデューサーだった著者 栗原美和子さんの
実体験にもとづいて書かれた私小説。

猿まわし師 村崎太郎さんとの恋愛・結婚を通して、
今も根強く残る部落差別の問題を激烈に問いかける。


栗原さんと村崎さんの、
熱く、激しい、
人間と人間が、
魂と魂が、
素のままでぶつかりあい、
愛し合う、その姿にこころ打たれる。


「キョンちゃん。人間にはね、理屈では説明できない、
 どうしようもない感情というものがあるんだよ。
 ママは、そのどうしようもない感情を消し去ることは
 できないんだ、きっと」

「そんなことをしたら、親子の縁を切ります」

主人公の今日子(栗原さん)が
両親から言われた言葉。

私も、ほとんど同じ言葉を両親から言われたことがあります。

言われた私もつらいけれど、
言う両親のほうも、つらかっただろうと、
この本を読み終えた今は思える。

この小説では、
ハッピーエンドにはなっていませんが、
栗原さんと村崎さんの実生活では、
ずっと反対していた家族の心を動かし、
理解を得られたようです。

「理屈では説明できない、
 どうしようもない感情」
それを動かすのは、
やっぱり理屈ではなく、
「情熱と行動」なんだ。

「差別を受けてきた人間として、
 日本中のあらゆる差別がなくなっていって欲しい」

「諦めちゃいけない。すぐに理解してもらおうなんて思っちゃいけない。
 身体ごと心ごとぶつかっていけば、いつかはきっと分かってもらえる。
 そう信じよう。」

村崎さんのこの言葉を、
心に刻みたい。