桜がきれいだと思えない年が、過去一度だけあった。
娘を妊娠中の2006年。

あっけないほどに簡単に離婚が成立して、
これから私はシングルマザーになると決めた頃。
いや、本当は、
決められていなくて覚悟もなくて、
自分の境遇にただ絶望していただけ。

妊婦検診に通っていた病院からは
むりやり精神科に回されて、
担当の女医さんから
「赤ちゃんはもう臓器はできあがっているし、
大丈夫だから、お願いだから抗うつ剤を飲んで」
と言われて
私は「イヤです」の一点張り。

あの時咲き誇る桜があまりに残酷で
視界に入らないようにして、
なんでこの病院の敷地に桜なんか植えるんだと思い、
お願いだから、咲かないでくれ、
晴れないでくれ、
新緑なんか輝かないでくれ
そう思っていた2006年春。

あれから15年。

「お花見?何か食べながら桜を見ることでしょ!(何も食べないのはお花見じゃない)」
という娘と、
あの時は会ったこともない今の夫と、
「うまい、うますぎる!」と
十万石まんじゅうを食べながら桜を見る日がやってきた。


十万石まんじゅう知らない人は、これ見てね。
私の好きなCMのひとつです!



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