本日の朝から、京都府久世郡久御山町佐古地区において、野神の神事が行われました。

野神(のがみ)の神事は、6月5日の午前零時におこなわれます。灯かりを消した暗闇の中で、音を立てず、声も出してはいけないという神事で、暗闇の奇祭と呼ばれています。


(洛タイ新報 令和4年6月5日掲載)

野神は、佐古の若宮八幡宮の西側、30坪ほどの境内に古い石塔を集めて祀られています。
この神事は、昔巨椋池周辺にマラリヤが流行した際に佐古の人々が野神を祀って無病息災、今年1年の平穏無事を祈って行われました。

神前に供えられる神饌(しんせん)は、真菰(まこも)で巻いた37本のちまき(従来の大きさ3本、残る34本は、ひとまとめにしたもの)、淡竹(はちく)の竹の子3本、へくそかづら、塩、洗い米、赤味噌、干かます、枇杷の葉、桑の木の箸です。ちまきは、直径約10センチ、長さ約70センチの大型のもので、真菰の香りが匂う風雅なものです。
 
5日午前零時、宮司を先頭に宮総代たちが供物をささげて野神に社参します。街灯などは覆って暗くし、宮司は声を出さずに祝詞を奏上します。柏手も音を立ててはいけないので、両手が合うところで止められます。
 
暗闇の中でおこなわれる神事は30分ほどで終わり、参列者はちまきだけを荷って引き揚げます。このちまきは、佐古自治会全戸の数に切って、夜明けまでに各戸の入口に置かれます。この場合も、声は出せず、人に出会っても挨拶を交わすことはできないしきたりになっています。

全国的にもめずらしいとされる素朴な神事は、近年真菰がすくなくなった、今も地元の人々の情熱によって続けられています。

久御山町にも様々な神事があり、私たちもこの様な、伝統を絶やすことなく、引き継いでいかなければならないと実感いたしました。

又、ここ数年、コロナ禍の影響により、私達の生活、生命を脅かされています。
コロナ禍の終息も願いたいと思います。


宮総代、農家組合、自治会、有志の皆様朝早くから、明け方まで、ありがとうございました。