今回は、先日行った大分市議会本会議での一般質問の内容についてお話させていただきます。

 

テーマは、『性的少数者の生きづらさの解消について』です。

 

 

余談ですが、髪も随分と伸びてきました。

 

それはさて置き、今回の質問の原稿と、執行部からいただいた答弁の趣旨を紹介させていただきます。

 

 

 私は、愛は美しいものであると思います。
 自らへと向けられる愛も、他者へと向けられる愛も、自然と湧きあがるその純粋な心は、本当に尊いです。
 しかしながら、私たちの社会には、その素晴らしい愛を、誇るべき愛を、抑制しなければならないと感じ、複雑な想いを抱きながら生きている人たちがいます。
 性的少数者の方たちです。
 今回は、性的少数者の生きづらさの解消について質問させていただきます。
 このテーマについては、大分市議会でも、何度か取り上げられてきましたが、私も、性的少数者に関する問題に対して、これまで調査をしてきました。その中で、先日、大分県内で性的少数者の人権を守る取り組みをされている方から、直接お話を伺い、意見交換させていただく機会を得ることができました。そこで、私は、この問題の核心に触れることができ、大きな壁を目の当たりにしました。
 結論から述べますと、根深く存在する社会の『普通』を変えなければ、性的少数者の生きづらさを解消することはできないと確信しました。
 私にそう確信させたのは、ご自身も性的少数者であるその方が話してくださった、一つの経験談です。

 子ども達がじゃれ合って、ケラケラとみんなで笑っている。スキンシップの多い友達をからかって笑っているのです。同性愛のようだと言って。日本社会では『普通』の光景だと言えると思います。この場にいる多くの方が、似たような経験をされたことがあるのではないでしょうか。私にも、その経験があります。私に話を聞かせてくれたその方も、そういった『普通』の輪の中で笑っている『普通』の子だったそうです。
 それが、ある時から、自分がみんなに笑われている同性愛者だと気が付きます。思春期になり、性が芽生えたからです。
 社会の『普通』の中で育ったその方は、自分が同性愛者であるということを認めることがとても難しかったとおっしゃっていました。

 友人とのふとした会話が、テレビから流れてくる情報が、それを見た家族の何気ない一言が、全て自らに突き刺さってくる。
 その中で、誰にも言えないという気持ちが募り、自分という存在を認めることができなくなる。
ありのままの自分でいいんだと思えないなんて、自然と湧きあがる純粋な想いが素晴らしいことだと思えないなんて、すごく切ないです。
 その悲しみや苦しみについては、私の想像では、到底量ることができません。

 本来、尊重されることが然るべきである性的少数者の存在が、私たちの『普通』によって迫害されていることは、極めて残念です。
 行政も、この『普通』を変えていくために、あらゆる手段を講じる必要があると考えます。
大分市では、男女共同参画センターが中心となって、様々な取り組みをされていると承知しています。
 そこで、お伺いします。
 これまでの性的少数者の生きづらさの解消のために大分市が実施してきた取り組みについてお聞かせください。

 

 

この問いに関しては、情報誌やセミナーを通しての啓発や、事業所などへの講師派遣などを通して取り組みが進められてきたことを説明され、引き続き取り組みを進める旨の意思表示もありました。

 

人権意識の高い方が、性的少数者への理解を深めることができる機会が多く設けられているが、そのすそ野を広げていくために、引き続き地道な取り組みを進めていただくよう要望し、次の質問に移りました。

 

 

 続いて、教育の分野での取り組みについてお伺いいたします。
 これまでの議会での質疑から、性的少数者の児童生徒に対する教育現場でのケア、それに必要な教職員への研修など、教育委員会においても、性的少数者の生きづらさの解消のために取り組みを進めていただいているものと理解しています。
 私としては、教育現場に留まらず、家庭に対しても、働きかけをしていただきたいと思っています。
 性的少数者の子どもが、自らの性について自認した時、家庭の環境は非常に重要です。先にも述べましたが、家庭での何気ない会話が、当事者にとって大きな傷を生む原因となる可能性が多分にあります。
 子ども達を守るために、保護者の性的少数者に対する理解を促進することが望ましいと思います。講演会やPTAを通しての啓発、資料の配布など、手法は多くあると考えます。
 そこで、お伺いします。
 教育委員会として、児童生徒の保護者に対する性的少数者へのより一層の理解促進に取り組むべきと考えますが、見解をお聞かせください。



教育委員会からは、小中学校の1年生の保護者への資料配布をしていることや、今年度は、PTA連合会と共催する講演会の講師として性的少数者当事者の方を迎えるということについて説明があり、今後については、あらゆる機会を通して啓発に取り組み、多様な性のあり方について保護者の理解促進に努めるという意思の表明をしていただきました。

 

僕からは、先の質問の時と同様に、すそ野を広げるために、引き続き地道な取り組みをして欲しいということと、PTAに協力していただく中で、学校単位での保護者への働きかけを目指して欲しいということを要望し、次の質問に移りました。



 続いて、多様な性のあり方に対応するパートナーシップ制度についてお伺いいたします。
現在、全国の20を超える自治体でパートナーシップ制度が導入されています。形式は様々であり、条例で定めているものもあれば、自治体の要綱によって実施しているものもあります。大分市においても、様々な視点からの検討をしているのだろうと推測しますが、私の見解は、条例で定め、一刻も早く導入すべし!、です。
 パートナーシップ制度は、公営住宅への同性カップルの同居が可能になる、病院への入院時に面会のハードルが下がる、民間サービスで家族としての待遇を得やすくなるなどの効果があるとされています。
 しかし、それらのほとんどは、パートナーシップ制度がなくても実現するものでもあります。
だからと言って、パートナーシップ制度の意義が小さいということはないはずです。
 私は、パートナーシップ制度の価値は、物理的な面よりも、精神的な面においてこそ、大きいと思います。
 大分市が公に多様なパートナーのあり方を認めるということは、大分市は性的少数者へ寄り添うんだということ、広く市民に性的少数者に対する理解を進めて欲しいんだということを伝える大いなるメッセージとなり得るのではないでしょうか。
 先に紹介した意見交換の中では、パートナーシップ制度自体については「ないよりはあった方がいい」という当事者としての意見を頂戴したのですが、大分市がパートナーシップ制度を導入するということについては「とても素晴らしいし、性的少数者にとって励みになる」という極めてポジティブな意見を聞かせていただきました。
 そして、もっとも大切なことは、その制度を求めている人がいるということです。
 隣県の宮崎市では、今年度よりパートナーシップ制度を導入し、すでに6組が制度を利用しています。
 公に申請をすることが性的少数者にとって簡単なことではないということを考慮しても、大分市においても需要があることは容易に想像できます。

 ありのままの自分でいいんだということを認めることが難しかったり、純粋な想いを押し殺したり隠したりしなければならない境遇に身を置いていた方々が、市役所の窓口を訪れて、「おめでとうございます」の一言を付して証明書を交付される。
 公に祝福された二人は、にっこりと笑う。
 
 私がその窓口の職員さんだったなら、そんなカップルが1組でもいるだけで、行政冥利に尽きるはずです。
 以上の想い、考えを踏まえてお伺いします。
 パートナーシップ制度導入に対する大分市の見解をお聞かせください。

 

 

この問いには、これまでの調査によって見えてきた課題として、多様な性についての正しい理解が進んでいない状況での制度活用は多くの当事者にとって強い抵抗があるということ、同性に限らない制度や性的少数者に限定しない制度などのモデルもあり、制度設計のパターンを絞り込んでいくことの難しさが挙げられましたが、最終的には、「当事者団体と十分に意見を交わす中で、これまでの調査による先進事例も参考にしながら、慎重に検討してまいりたい」という答弁をいただきました。
 

・・・?!

 

検討という答弁をいただきました!

 

粘着質な僕は、どんな検討なのかを知りたくて、予定にはなかったのですが、「それはつまり、パートナーシップ制度の導入を検討する段階に入ったということですか?」と、さらに質問してみました。

 

「制度導入がゴールにならないよう、先進事例を参考に検討していく中で、申請窓口の設置や対象者についてなど、新たに出てくる問題や課題を当事者団体と意見を交わしながら、公的に受けられるメリット等も整理し、慎重に検討してまいるという意味だ。」という答弁が返ってきました。

 

聞き方によって解釈が変わる感じの憲法9条のような表現です。

 

だけど、非常に具体的な項目を示してもらうことができましたから、この課題に関しては着実に前進したと言っていいと思います。

 

今日はもう時間がありませんので、今後もこの課題について取り組みを進めることを宣言させていただき、今回の記事の結びといたします。

 

 

最後に一言・・・大分に元気とまつき!!