今回は、統一地方選挙についてのお話をさせていただきます。

 

昨日3月21日から、統一地方選挙がスタートしました。

 

全国各地で地方自治にかかわる重要な選挙が行われますが、もっとも注目を集めているのは、あの都市であろうと思います。

 

無論、大阪のことです。

 

大阪維新の会が、いわゆる大阪都構想への再チャレンジをスローガンに掲げ、現職の府知事と市長を入れ替えてそれぞれの候補者とするという珍しい展開で選挙が実施されます。

 

いわゆる大阪都構想は、現行の大阪市を解体し、東京都のように特別区を設置して基礎自治体を細分化するというものです。

 

大阪に特別区を設置することの住民投票については2015年に1度実施されており、反対が多数となりましたが、得票率の差は僅か0.8%であり、まさに大阪市を二分する大論争となりました。

 

この論争は、大阪における地方自治の話ではあるものの、全国的な人気を誇った当時の橋下大阪市長の発信力が非常に大きかったことや、現在の地方自治のあり方について一石を投じる内容であったこともあり、全国的に大きな注目を集めてきました。

 

僕も、この論争に関しては、大いに注目をしてきたうちの一人です。

 

 

当然のことながら、大阪の自治に関して僕は口出しをする立場にはありませんので、この記事では、論争を見てきた者としての感想を述べたいと思います。

 

僕の目から見ると、大阪都構想賛成派、反対派共に、ほとんど同じ主張をしているように思います。

 

両陣営ともに、詰まるところは、大阪府と大阪市という大きな行政団体が、連携や協調をもって効率よく事業を実施していかなくてはいけないということを言っています。

 

大阪維新の会が表現すると、それがいわゆる二重行政の弊害への危惧であり、その解決策として、大阪市の権限や財政力を制限していくかわりに、より細分化した自治を可能にする大阪都構想が提示されています。

 

大阪都構想反対派陣営では、大阪府、大阪市、堺市といった財政規模の大きい団体の代表者が集まる調整会議を開いていくことで、大阪府内における効率的な行政事業の実施を目指し、特別区の設置によって危惧される行政運営コストの増大とそれに伴う実質の事業費の減少を回避し、かつ、特別区設置時の効果と同様のよりきめ細やかな行政サービスの実現のために、現行の行政区よりも権限が強化される総合区を設置する総合区制度を導入して都市内分権を進めるという案が提示されています。

 

以上のように、手法の違いはあっても、取り組もうとする課題は同じであるし、住民視点で見た場合の理想とする行政サービス像も同じであるように思います。

 

 

その点を踏まえて、僕の率直な感想としては、大阪都構想の実現によってもたらされる効果が、プラスの面もマイナスの面も共に不透明だなぁということが挙げられます。

 

大阪府が持つ権限と財政力を強化し、大阪市を分割して首長と議会を増やすことで、なぜ現在の課題が解決されるのかという説明が不足しているように感じるからです。

 

社会において、マインドは大きな影響力を持つと思います。

 

大阪都構想が実現すれば、大阪はひとつだという強いマインドが生まれ、そこから様々な効果を生んで、行政サービスの向上や大阪のさらなる発展が見えてくる可能性は大いにあるだろうなと推測します。

 

だけど、その効果の大きさは、これまでの議論を見てきた限りでは、良くも悪くも未知数です。

 

本来的に、賛成派、反対派共に解決したいと考えている課題に対しては、反対派のプランで十分に対応が可能だと思われます。

 

その上で、大阪市という歴史ある自治体を解体するということは極めて重要な決断だという認識のもとで、もしも自分が大阪市民だったらという想定をすると、現段階では、大阪都構想の推進を支持するのは少し難しいかなぁ。

 

必ずしも大阪都構想を否定をするということではなく、僕としては、大阪都構想の優位性には疑問符が付くということです。

 

大きな変革に対しては慎重になってしまうのが人情でしょうから、2015年の住民投票の結果にも、市民のそういった気持ちが投影されているのではないかとも思います。

 

選挙期間中に、大阪都構想の優位性をクリアにしていく説明がなされてくると、今後、未来の大阪をめぐって、ますます素晴らしい議論が起こってくるのだろうと期待します。

 

 

ちょっと偉そうな発言になってしまいましたが、大阪都構想が持つポテンシャルには本当に注目をしています。

 

そして、2015年の住民投票後の記者会見で橋下さんが述べた、住民投票を通じて日本の民主主義を進歩させることができたという主旨の発言は、真をつくものであったと思っています。

 

自分たちの投じた1票で自分たちの生活が変わるかもしれないという非常にシビアな投票だったんですから。

 

 

今回、なぜに偉そうな発言までしてこの話題を取り上げたかというと、大阪におけるこの大論争は、日本の民主主義の発展のために本当に価値のあるものであり、本当に本当に素晴らしいことだと思っていて、この話題に触れることが、大阪以外に住んでいる方にとっても、改めて社会について深く考える契機となったら嬉しいなぁと思ったからです。

 

 

とにもかくにも、この統一地方選挙にかかわる全ての方が、社会のために健闘されることを心より祈念しまして、今回の記事の結びといたします。

 

 

最後に一言・・・大分に元気とまつき!!